「もったいない」害獣シカ肉でジューシーなウインナー 福井県の若狭ジビエ工房が商品化

若狭の山で育ったシカの肉を活用し、ウインナーとして販売する(左から)西村拓也さん、村上大祐代表、橋詰裕樹さん=5月26日、福井県若狭町海士坂

 福井県若狭町の食肉加工処理施設「若狭ジビエ工房」がこのほど、新鮮なシカ肉を使ったウインナーの販売を始めた。若者3人でつくる合同会社「MOT」が指定管理を担っており、害獣に対応しながら地元を盛り上げようと約半年かけて開発。弾力のあるジューシーな味わいが特長で、地元でも好評を得ているという。新たな味の新商品を開発中で、福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で資金を募っている。

 3人は村上大祐代表(36)、橋詰裕樹さん(32)、西村拓也さん(27)。町内で害獣のシカやイノシシが大量に焼却処分されていることを知り、地域資源として活用できないかと2020年9月に合同会社「MOT」を発足。21年春から工房の指定管理を担い、“若狭ジビエ”を販売してきた。

 より多くの人に手軽に味わってもらおうと、同年11月から滋賀県の企業と連携しウインナーの商品化に着手。20パターンの試作を経て22年3月末に完成し、4月末から販売を始めた。

 ウインナーはヘルシーなシカ肉のミンチに豚脂(とんし)を混ぜ、ジビエらしさを生かしつつも誰でも食べやすい仕上がりに。食べ応えのある食感も魅力で「ボイルしうまみを閉じ込めて食べるのが一番」(村上代表)。酒のつまみにもなるという。

 ウインナーは4本入り880円で若狭ジビエ工房などで販売。黒こしょうやタマネギを加えたスパイシーな新フレーバーも開発中で、今後はレトルトのドッグフードも販売予定。

 社名のMOTは“もったいない”が由来という。村上代表は「若狭で育ったシカのおいしさを知ってもらえたらうれしい」と話していた。

 「多くの人に食べてもらうことが目的」の今回の目標額は50万円で、支援者への返礼(リターン)としてシカ肉ウインナーを用意している。募集締め切りは7月5日。

 【ミラカナ】福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でさまざまなプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして2018年に福井新聞社、福井銀行、レディーフォーが連携して始まった。21年から福邦銀行が事業に参画し同年、累計支援額が1億円を突破した。プロジェクトの達成率は93%(21年度末時点)。

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