「属性の違い」から考える、ビジネスでSNSを成果につなげるポイント

国が副業や兼業の促進に力を入れるなど、いまや「人類総経営者時代」と言っても過言ではありません。

そこで、ビジネス書作家・岡崎 かつひろ( @zakihalz )氏の著書『お金に困らない人が学んでいること』(すばる舎)より、一部を抜粋・編集して成果を出すためのマインドを紹介します。


キャッシュポイントを焦ると、せっかくの学びを無駄にする

「2年ほど前までビジネスをしていて、お客さまとよくやりとりをしていました。ビジネスを再開しようと思い、そのお客さまに連絡をしたのですが、なかなか返信がいただけません。どのようにしたらよいですか?」

先日、個別コンサルをしているときにいただいた質問です。

そこで「どのような連絡をされたのですか?」と聞いてみました。

「新しく〇〇というサービスをはじめたので、もしよろしければお試しいただけませんか?という内容です」

多くの方がやってしまいがちなのですが、これは完全に間違ったコミュニケーションです。

考えればわかることですが、2年も経てば関係性が薄れています。

いまは何を買うかよりも誰から買うかという時代です。しばらく連絡をとっていない、関係性の薄い人に、いきなりサービスの売り込みをしても難しくて当然です。

おそらく普通の人であれば嫌な気持ちになるでしょう。だから返信が来ないのです。

キャッシュポイント、という言葉をご存じでしょうか。

これはビジネスにおいて、お客さまからお金をいただくタイミングのことを指します。たとえば小売店なら、お客さまがレジに来てお金を支払ってくださるタイミングでしょうし、ネットショッピングならカートに入れてクレジット決済を済ませるタイミングです。

あなたが学びをお金に変えるときに意識しなければならないことの1つが、このキャッシュポイントです。

じつは、時代の変化とともにこのタイミングが変わってきているのです。

ホームページが流行りだしたころは、ホームページからすぐにお金が稼げました。

その後、ブログが流行りだします。ホームページのような飾られたきれいな言葉ではなく、社長の本音を綴つづったブログや、生産者の声、スタッフの1日など、人となりがわかるサービスが好まれました。キャッシュポイントをつくろうと思うと、ブログを経由してからホームページでお金を落としてもらう必要性が出てきたわけです。

さらに、そこからSNSが流行りました。双方向でコミュニケーションをすることができ、人柄を通してものを購入していく。何を買うかよりも、誰から買うかの時代に変わってきたのです。SNS→ブログ→ホームページと、キャッシュポイントが変化してきました。

つまり、ホームページからすぐに購入していただけた時代に比べて、キャッシュポイントがうしろになっているということを意味します。

だからいまは、すぐお金にしようとしても、なかなか結果にならないのです。

信頼関係を築かなければ絶対に売れない

マーケティング用語で「ナーチャリング」という言葉があります。

ナーチャリングとは「育成」「養育」という意味を持ち、潜在顧客から見込み顧客へ、見込み顧客から既存顧客へと引き上げていくことをいいます。

要は、お客さまに理解を深めてもらい、関係性を築きあげていく必要があるということです。

これはリアルな店舗であっても、SNSの集客であっても一緒です。どれだけお客さまとの信頼を築いていけるかが、大事なポイントなのです。

冒頭でお伝えしたケースでも、いきなり2年ぶりのお客さまに売り込みをして、嫌がられてしまっています。

「ビジネスをはじめたら、すぐに稼ぎたい」という気持ちもわかりますが、まずは関係性をしっかりと構築するのが先です。

とくに、顔の見えないSNSにおいてはこの概念が重要なポイントになります。

InstagramやFacebookをはじめて、友だちになったとたんにセールスのDMを送りまくる人たちがいます。迷惑です。

なぜ会ったこともない、コミュニケーションを取ったこともない人たちに、いきなり売り込みをされなければならないのでしょうか?

こういった独りよがりのビジネスをしている人たちは、絶対に成功しません。

ビジネスの根底にあるのは、人を大事にする気持ちです。 相手に喜んでもらえるように情報発信し、サービスを提供する。それが大前提なのです。

だから、 SNSなどの情報発信からお客さまに集まっていただくために大事なことは、「出し惜しみしないこと」と「1年間はしっかりと関係性を築く」という心構えを持つことでしょう。

焦ってなんとかしようとすればするほど、人が離れてしまいます。「とにかく早く結果を出したい」という気持ちはわかりますが、地に足をつけて、自分の情報発信に目を留めてくれる方との関係性を大事につくっていきましょう。

あなたが学んだことを必要としている人は、どこにいるのか?

最近のマイブームは和装です。

浴ゆかた衣を着て街を歩くことが好きで、下駄を履いて闊歩しています。

その姿がなかなかめずらしいようで、外国人の方から声をかけていただくことも多いですし、日本人の方でも、店で隣に座った人と友だちになったりしています。

和装グッズは浅草に買いに行っています。浅草は浴衣や下駄の店が多く、和装を好む人にとっては便利な街だからです。

逆に、表参道や渋谷に浴衣を買いに行くというのは考えにくいでしょう。浴衣ブームが来れば話は別かもしれませんが、最新の流行を追っている渋谷や表参道で、浴衣はあまり見かけません。当然、買いに行く人も少ないです。

これは、商売において重要なことです。

お客様がいないところで商売をしても、残念ながらお客さまは来ません。

浅草にいる人の属性を考えたら浴衣の販売やレンタルがいいでしょうし、渋谷なら、渋谷で喜ばれるファッションの提供をする必要があります。

同じように、あなたがこれから学びをお金に変えていくために、あなたが学んだことを必要としている人が「どこにいるのか」を考えなければならないのです。

SNSはそれぞれの特性をつかんでおこう

必要としている人がどこにいるかを探るため、そして自分とのつながりをつくってもらうために、これからビジネスに参入していこうとしている人にとってSNSは必ずやらなければならないことの1つになるでしょう。

ただし、SNSといってもそれぞれ特徴があり、目的に沿って選ばなければならないのです。まず、 それぞれのSNSを使っている人たちの属性が違います。

Facebookは40歳以上の会社員や経営者、なんらかのビジネスをされている方が多いSNSです。たとえば20代向けのアパレルの販売にFacebookを利用するのは、難易度が高いはずです。

Instagramは10代後半から20代、30代前半が中心となっています。ですから、この層に対するサービスや商品を提供することを考えているなら、すばらしいツールです。ただし、高額なものは手に取られにくいという印象があります。

10代にもっとも使われているのはTikTokです。ただし、ここを対象にお金に変えることは難しいでしょうから、自分のサービスや今後の展望に沿って、効果性を考えなければならないでしょう。

利用する層を検討するのと同時に知らなければならないのは、SNSごとの特性です。

拡散されるものと、固定化されたコミュニティをつくるのに適したものがあります。

Facebookはグループの機能が充実しており、コミュニティをつくるのには適しています。しかしコミュニティは拡散する機能が弱いです。広く情報配信をしていく必要があるなら、Facebookよりも、TwitterやInstagramがいいでしょう。

つまり、学びをお金に変えるためには、やみくもにSNSを利用するのではなく、目的別にSNSを使いこなしていく必要があるのです。

私の場合、3年ほどかけてFacebook中心に育ててきました。

そしてClubhouseが日本に入ってきた際に、音声SNSに力を入れていきました。

なぜなら私自身が講演家なので、話すほうが得意だからです。結果的に自分に合ったSNSを伸ばすことで、成果につなげることができています。

広告費を大量にかけられる大手企業であれば、わざわざSNSを活用する必要はありません。逆に、 個人が広告費をかけずにできるSNSは、弱者に与えられた最強の広告ツールなのです。

いままで情報発信に触れていなくて、苦手意識がある方も、少しずつでもいいのではじめてみることをおすすめします。

著者 岡崎かつひろ

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