トラの「ボルタ」死ぬ 悲しい事故乗り越え展示も、11歳で 那須サファリパーク

ベンガルトラの「ボルタ」

 栃木県那須町高久乙の「那須サファリパーク」は10日、飼育していた雄のベンガルトラ「ボルタ」が急性心不全のため8日に死んだと発表した。ボルタは世界に約30頭しかいない希少な毛色を持つトラとして人気を集め、7日に11歳の誕生日を迎えたばかりだった。

 同園によると、7日は夕方に通常の量のえさを完食し、お気に入りのおもちゃで遊ぶなど変わった様子はなかった。8日午前6時ごろ、飼育員がおりの中で横たわったまま動かなくなっているボルタを発見した。

 ボルタは2011年に東北サファリパークで生まれ、18年に那須サファリパークに移された。ベンガルトラの突然変異である「ゴールデンタビータイガー」と呼ばれる希少種で黄金色の毛色と薄茶色のしま模様が特徴だという。今年1月5日には飼育員3人が早朝に獣舎外の通路にいたボルタに襲われ負傷。同園は臨時休園したが、同月下旬に再開し、ボルタも従来通り展示されていた。

 内海(うつみ)一秀(かずひで)副支配人(50)は「悲しい事故があってから、特に健康状態には気を配ってきたつもりだったので残念。今は静かに冥福を祈りたい」と沈痛な表情で話した。

 同園は10日から献花台を設置。花を持って訪れた日光市今市、会社員女性(42)は「ボルタが那須に来てから2カ月に一度は会いに来て、たくさん写真を撮った。『いつもかわいい顔を見せてくれてありがとう』と伝えたい」とノートにメッセージをつづっていた。

多くの写真が飾られた献花台でボルタへのメッセージを書く来場者の女性=10日午後2時半、那須町高久乙の那須サファリパーク

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