「報復をにおわす提案だ」議員側 メガバンク出身市長の“議員定数半減”案は否決 対立続く過疎の町の市民は… 広島

振り返れば「議員が議会中、居眠りした」…。あのツイッター発信をめぐる論争から対立構造は続いたままです。10日、広島・安芸高田市の石丸市長が、「議員定数を半分にする」という案を市議会に提出しました。県北の街が揺れています。

RCC

安芸高田市 石丸伸二市長
「居眠りをする。質問をしない。説明責任を果たさない。『恥を知れ、恥を』。と声が上がってもおかしくはありません」

午前10時に開会した安芸高田市議会の定例会。石丸伸二市長は、議員定数を現行の16人から8人に半減するという、異例の条例改正案を提案しました。

石丸市長は、提案理由を「抜本的な財政健全化の必要性と市民の評価。議員定数を16とする必要性・正当性がないと判断した」などと述べました。

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2021年、石丸市長は、転職サイトを通じて4000人以上の中から選んだ一般社団法人の女性職員を「2人目の副市長」として市議会に議案を提出。しかし、「新型コロナでの財政難」などを理由にこれまでに3度、否決されました。

RCC

一方、議会側は、3月、2人目の副市長の人件費を削減した当初予算案を全会一致で可決しました。

RCC

石丸伸二市長(10日の議会で)
「議員の削減で人件費は年間4500万円圧縮できる。 (議会が否決した)副市長1人1200万円と比べ、かなりの負担軽減となる」

これに対し、議員からは…。

賛成する議員
「議員とそれを選ぶ市民の覚悟を問う数字だと受け止めている。市民の意見の届く政治 (議員8人)は不可能ではない」

RCC

この意見が唯一の賛成で、反対意見が多数を占めました。

反対する議員
「3月の副市長定数条例のお返しを連想させるような説明で、報復をにおわすような理由を述べている」

RCC

反対する議員
「その審議・判断で暴走は起きないのか。8人で妥当であろうか。(しっかり議論していく)ということであれば賛成できるが、現段階で責任をもって8人でよいというのは時期尚早」

RCC

1時間半以上に及んだ議論、そして…。

議長
「起立少数であります。よって本案は否決されました」

賛成1人、反対14人。石丸市長の議員定数半減案は、否決とされました。

RCC

議長
「議員定数は、議会の根幹に触れる重要な事項。議会制民主主義など考えながら慎重な対応をしなければならない」

RCC

会議を傍聴していた市民からは、さまざまな意見が聞かれました。

RCC

市民たち
「(市長は)あまりにも子どもじみた行動。否決されることが分かっていながら、極めてパフォーマンス的に出した。議会も(市長の)チェックをしてこなかった。これもものすごく頭にきている」

RCC

「仕事をしていない議員が多いことは市長が見ているので(定数削減は)正解。でないと眠ることはないから。する仕事がないから寝ている。定数削減は賛成だが、極端に16人から半分というのはどうかな」

RCC

石丸市長は…。

安芸高田市 石丸伸二市長
「(私は)“議会の暴走が極まった” とまで言っている。その暴走をマネしたのだから(今回の自分のやり方は)乱暴に決まっている。『こんなくだらないアホなこと、やらせないでください』というのが正直な思い。(政治の)本来の姿、機能のあるべき形を私は自分の任期の中で、市民に知らせたいと思ってわざわざ(市政運営の)スピードを落としてでも、政治の立て直しに注力していきたい。先々まで見通したときには必ず生きてくる。この街の改革・立て直しのためには絶対に必要だと思っている」

RCC

石丸市長は、こう述べたうえで「市民や議会などへの問題提起は、これからも必要に応じてしていきたい」としています。

人口およそ2万7000人の県北の小さな街で2年前、大きな期待を背負って就任した若き市長…。市長による「議会中、居眠りした」など議員の言動を指摘したツイッターでの発信をめぐる論争や、市長が進めた2人目の副市長人事のたび重なる否決。加えて、今回の議員定数半減案…。議会との対立は、長期化しています。

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