個別銘柄選びにも役立つ、日本経済の先行きがいち早くわかる情報ソースとは

いま日本の景気がどうなっているのかーーそれは、半歩先読みが必要な株式投資において、とても大事な情報ですよね。

私たちが生活をして消費をすることなどが企業の決算につながっているので、今どういったことに人気があるのか、どういった分野が調子が良いのかを知ることができたら、個別銘柄選びにも役立つと思います。今回は景気の先取り、どの分野が活況なのかを早く掴むことができる情報ソースをご紹介します。

答えから言いますね。それは内閣府が発表している「景気ウォッチャー調査」です。景気ウォッチャー調査は身近かつ、日本経済の状況を最も早く把握できる敏感な経済指標と言えます。


景気ウォッチャー調査とは?

景気ウォッチャー調査とは内閣府が毎月調査しているもので、調査の対象はタクシーの運転手の方や百貨貨店などの店員の方、製造業や金融、 税理士、人材派遣会社の社員の方など「家計動向、企業動向、雇用等、代表的な経済活動項目の動向を敏感に反映する現象を観察できる業種の適当な職種」、つまり地域の景気に関連が深い職業や身近に景気の動きを観察できる、経験則もあると考えられる職業の方々となっています。2,050人の協力を得て調査されていますので、確報性も高い指標といえます。

また、景気ウォッチャー調査は「街角景気指数」とも呼ばれています。

「最近外食をするお店が混んでいる」とか、「外国人観光客も増えたし、高いものが売れている気がする」など、世間話の中で景気を感じることがありますよね。それが経済指標になった、みたいなイメージでしょうか。

私はタクシーに乗ると、運転手の方に「最近の景気はどうですか?」と聞くことが多いですが、「コロナが明けてきて結構客足戻ってきてホッとしてるわー」など、具体的に教えてくださったりします。それが数値化され「見える化」しているのが景気ウォッチャー調査なのです。

毎月月末の調査が翌月第6営業日に発表される、速報性が高いことでも注目度の高い指標といえます。

景気ウォッチャー調査では、景気の変動に関係のある複数の指数を合成して算出する「Diffusion Index」(DI)という指数を用いています。その見方は、景気の現状判断DIが横ばい状態の50より高いか低いかです。100点満点のテストと同じようなもので、全ての人が景気が最も悪いと判断するとDIは0に。逆に最も良いと判断している満点の状態が100となります。

今の景気を見る景気の現状判断DIと、2〜3カ月先を見る先行き判断DIの両方チェックしてくださいね。対象地域は北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の12地域です。

内閣府の公式サイトから、どなたでも無料で最新の結果を見ることができます。1ページ目にその月の結果をまとめてありますので、そこを見るだけでも投資にもビジネスなどの教養としても役に立ちます。

見るべきポイントと活用方法

まず最新の1ページ目から見てみましょう。

画像:内閣府「令和4年5月調査(令和4年6月8日公表):景気ウォッチャー調査」より引用

内閣府が6月8日に発表した5月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状を示す指数の現状判断DIは54.0と、節目となる50を超えており、3カ月連続で改善しました。先行き判断DIも52.5となっています。

現状判断DI、先行き判断DIともに底打ちしている感じがあり、日本の景気が底を打ってきたと判断できるのではないでしょうか。加えてコロナの影響が薄れてきたという意見が出ており、基調判断から新型コロナウイルス感染症というワードが2020年1月ぶりに削除されており、日本はアフターコロナに入ってきたことがわかるでしょう。

画像:内閣府「令和4年5月調査(令和4年6月8日公表):景気ウォッチャー調査」より引用

細かく数値を見ていくと、飲食やサービスが先行きが明るいことがわかります。さらに13ページ目の景気判断理由の概要では「今は夜の客が随分あり、先日は2年ぶりに学会が開催されるなどイ ベントも多くなってきている。特に夜の客が少しずつ戻ってきた」、「ある程度は自由に旅行ができる雰囲気が出てきているので、旅行市場の拡大が期待される」、「積極的にレジャーを楽しむ傾向が予想され、関連商材の動きが期待される」などの具体的な意見も載っているため、そこから連想して個別銘柄を探してみることもできます。

例えば、「ゴールデンウィークは県外客や帰省客が増え、土産を購入する客が多く見受けられた」ということで、お土産を手がけている企業の株価動向を調べてみる、などということですね。

このように身近に感じられる経済指標もありますので、ぜひチェックして投資方針の参考にしてみてくださいね。

6月6日週「相場の値動き」おさらい

6月9日に欧州中央銀行(ECB)が7月から国債買い入れによる量的緩和策を終了、11年ぶりに利上げする方針を示しました。金利は7月の0.25ポイント上がる見込みで、9月にも利上げ幅を倍増する可能性が示されており、9月末までに現在のマイナス0.5%からゼロ、あるいはそれ以上に引き上げる見通しとなっています。ラガルド総裁によると今回の決定は全会一致だったとのことです。

ヨーロッパの金利が上昇することは世界景気の先行き不透明感につながり、株価の下落要因となります。また、ドルだけではなく、ユーロに対しても円安が加速する恐れもでてきそうです。

6月10日(金)の日経平均株価は、前日比422円24銭安の2万7824円29銭で終了。6月3日(金)の日経平均株価は前日比347円69銭高の2万7,761円57銭でしたので週間では62円72銭の上昇でした。週足で続伸したものの週末に上げ幅を縮めています。

日本では骨太の方針2022(経済財政運営と改革の基本方針)が閣議決定されましたね。

(1)人への投資、(NISAやiDeCoの拡充)
(2)科学技術・イノベーションへの投資
(3)スタートアップへの投資
(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
(5)デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資

この5つに重点投資を行うということで、このテーマに関連する銘柄は国策関連となりますので、ぜひチェックしてみてください。

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