コロナワクチン 1万6665回分廃棄 長崎県内6自治体、米モデルナ製

ワクチンを廃棄した自治体と回数

 有効期限切れによる新型コロナウイルスワクチンの廃棄が長崎県内の自治体では1万6665回分に上ることが、長崎新聞社の21市町への取材で分かった。廃棄したのは県や佐世保市など6自治体で、いずれも米モデルナ製。最多は同市の8940回分だった。一方で多くの市町が期限内の使い切りを目指して工夫を凝らしていた。
 期限切れによる廃棄は全国的に発生している。長崎新聞社が7~10日、各自治体に問い合わせたところ、廃棄した市町はほかに五島、西彼長与、時津、北松佐々。佐世保市の担当者は「米ファイザー製の方が人気があり、想定よりもモデルナ製の接種が進まなかった」と説明した。
 「そもそも想定より3回目接種を希望する人が少なかった」と話す担当者も。県内の5日時点の3回目接種率は63.1%。6日更新の県内年代別では20代47.9%、30代50.3%。70~90代は9割を超えている。

米モデルナ製ワクチンが入っていた瓶。県内でも複数の自治体が有効期限切れで廃棄したことが分かった

 モデルナ製の有効期限は9カ月だが、県によると、国から市町に供給された時点で期限が4カ月程度のワクチンもあったという。担当者は「期限が迫っているワクチンを県が引き取って大規模接種会場で使用するケースもあった」。県は2~5月に約3万6千人に3回目接種を実施。廃棄は600回分だった。
 松浦市は「冷凍の(有効)期限切れで廃棄したことはない」が、市が個別接種のために配送した医療機関で冷蔵の保存期限が切れたため、195回分を廃棄したという。
 「未定」と回答したのは4市町。このうち東彼東彼杵町はモデルナ製が約500回分あり、有効期限は9月上旬。担当者は「今後高齢者施設で接種の予定があるので活用は進むと思うが、多少余る可能性も否定できない」とする。
 11市町は「廃棄の予定はない」。長崎市の担当者は「市民と医療関係者の理解と協力でモデルナ製の利用を進められた」、壱岐市の担当者も「種類を選ばず接種をお願いした」と回答した。また東彼川棚町や波佐見町などは在庫と予約の状況を厳格に管理していると説明した。


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