神奈川県立高の菅氏講演問題 県教育長「国が示す留意事項踏まえた」「さまざまな意見、真摯に受け止めている」

菅義偉前首相(資料写真)

 神奈川県立瀬谷西高校(横浜市瀬谷区)が菅義偉前首相(衆院神奈川2区)を招き、政治参加に関する講演会を企画した問題で、県教育委員会の花田忠雄教育長は17日の県議会本会議で「さまざまな意見が寄せられたことは真摯(しんし)に受け止めている」と述べた。一方で、「学校では講演会の前後にテーマについてさまざまな考え方があることを学習する計画としていた。国が示している政治家を学校に招く際の留意事項を踏まえたものだ」とも説明した。

 立憲民主党・民権クラブの中村武人氏の代表質問への答弁。中村氏は「教育委員会は開催の是非や中立を担保する内容、形式、事前説明といったマネジメントを行うべきで、今回は問題があった」と指摘した。

 県教委によると、留意事項は総務省と文部科学省が作成した教師用指導資料で示された留意点で、事前、事後の指導や内容の工夫などで政治的中立性の確保に配慮するよう求めている。

 花田教育長は答弁で、今回の講演会に先立った今年2月に同校の生徒の代表らが立民の国会議員とオンラインで意見交換したことを説明。中村氏は再質問で「そのことと、学校カリキュラムとして(講演会を)行うことは全く別問題だ」と反論した。

 講演会は今月13日に国際園芸博覧会(花博)などをテーマに開催予定だったが、菅氏側の日程の都合で中止となった。参院選の公示を控え、同校には中止や延期を求める抗議が寄せられていた。

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