応援の力

 数年前、あるスポーツメディアが「応援されることによるパフォーマンスの変化」を検証したことがある。無観客の前半、有観客の後半で違いはあるのか-。ハンドボール強豪校の選手たちに観客が入ると教えず、走行距離や心拍数、ステップ数などを測る装置を着用させた▲結果は予想通り。大勢に注目された後半は各数値が上がり、運動量は約20%も向上していた。「モチベーションが上がって自然と体が動いた」。当時の選手のコメントもまた、如実に違いを表していた▲今月上旬、1万人超の選手が参加した県高校総合体育大会が開催された。昨年同様、一般客は入場できなかったが、今年は3年ぶりに生徒や保護者が観戦できた。スポーツ本来の姿が戻ってきているのを実感できた大会になった▲12日付の紙面に運動部の記者がその総評を書いた。「選手は『頑張っている姿を一番見てもらいたい人たち』に見守られながら、集大成の試合に臨むことができた」。まさにその通りだった▲約1カ月後、上限付き有観客のインターハイが開幕する。一般客に制限がかかりそうだが、少しでも多くの人が入場できたらと願う▲「一番見てもらいたい人たち」の前でプレーする。コロナ禍とともに入学した現3年生にとって、それは何よりうれしく、力になる。(城)

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