囲碁の魅力知って 全盲のアマ棋士、神奈川県立平塚盲学校に27日訪問 「健常者と対等に打てるのが素晴らしい」

視覚障害者の囲碁普及に取り組む柿島光晴さん=平塚市浅間町

 「囲碁のまち平塚」で視覚障害のある子どもたちに囲碁の素晴らしさを伝えようと、自身も全盲ながらアマ四段の腕前を持つ柿島光晴さん(44)=日本視覚障害者囲碁協会代表理事、町田市在住=が27日、神奈川県立平塚盲学校(平塚市追分)を訪問する。囲碁を学ぶ生徒たちの指導や記念シンポジウムを通じて交流を図る。

 柿島さんは2015年10月に同校の文化祭を訪れ、初めて盲学校生に囲碁の指導を行った。以降、囲碁普及の取り組みに目覚め、これまで国内49の盲学校や台湾、韓国の学校に赴き、視覚障害者用に商品化された碁盤「アイゴ」を寄贈するなど活動を続けてきた。

 柿島さんは視力と視野が急激に低下する網膜色素変性症を患い、23歳の時に失明。「今まで見えていたものが見えなくなり、やることがなくて寂しかった」と振り返るが、盲学校に通ううちに「生まれつき目が見えない友達もいた。でもそれが彼らにとって当たり前で、くよくよしていない。その姿に感動して囲碁の活動も始められた」という。

 日本棋院平塚支部が主催する27日(午後6時から)の催しは柿島さんが盲学校生に指導するほか、シンポジウムでは昨年4月、視覚障害者として初めてプロ候補生の日本棋院院生になった中学2年の岩崎晴都さん=さいたま市=やプロ棋士らがオンラインで参加する。

 柿島さんは「健常者と対等に打てるのが囲碁の素晴らしいところ。碁を打つことを手の談話と書いて『手談』と言う。人の心がつながる大切さを生徒たちに伝えたい」と話している。

 当日の様子はビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で視聴可能。問い合わせは同支部の木谷さん電話080(7991)4761。

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