【参院選2022】3年間の国会・政治・政局を振り返る

参議院議員選挙(以下、参院選)が6月22日に公示され、7月10日に投開票日を迎えます。

前回2019年の参院選では、政権与党の議席数が憲法改正の発議に必要な3分の2を割り込む結果となりました。
それから3年間、どのようなことが起こったのでしょうか。

本記事では、今回の参院選で参考にしていただきたい、2019年から2022年の国政の動きをお伝えします。

2019年7月 参院選与党勝利、改選議席の過半数を獲得

2019年7月には、第25回参議院議員通常選挙が行われました。
投票率48.80%という、過去の国政選挙を見ても2番目に低い投票率を記録した選挙となりました。

自民党と公明党を合わせた政権与党は、改選議席の半数を超える71議席を獲得したものの、与党と改憲賛成派を合わせた議席数は、参議院全体の3分の2に届きませんでした。

一方野党は、全国32の1人区で10議席を獲得。
候補者を一本化したことにより、前回並みの議席を獲得できたと推測されています。

2019年9月 第4次安倍再改造内閣発足

2019年9月には、第4次安倍再改造内閣が発足しました。
麻生太郎副総理・財務相と菅義偉官房長官のみが再任され、それ以外の顔ぶれはがらりと変わる大幅な改造が行われました。

初入閣が過去最多の13人。女性閣僚は高市早苗氏と橋本聖子氏の2人でした。
小泉進次郎氏が戦後3番目の若さで入閣を果たすなど、注目度の高い内閣となりました。

2019年10月 消費税10%スタート

2019年10月には、消費税率が10%に引き上げられました。
また、同時に軽減税率制度も適用されました。

軽減税率制度とは、日常生活での税負担の軽減を目的に、特定の品目については8%の消費税率が適用される仕組みです。
最初は混乱もありましたが、今となっては慣れてしまった人も多いのではないでしょうか。

2020年4月 新型コロナウイルス感染症、初の緊急事態宣言発出

2020年1月初旬、中国の武漢市で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の1例目の感染者が報告されてから、わずか数ヶ月ほどの間にパンデミックと言われる世界的な流行となりました。

2020年4月7日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、初めての緊急事態宣言が発出されました。

当初緊急事態宣言が出されたのは、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県。その後、対象地域は全国に拡大されました。
人と人との接触機会を7割削減するために、外出自粛が呼びかけられ、学校の休校や商業施設の休業なども行われました。

そんな緊急事態宣言のさなか、2020年4月に家計への支援策として、1人10万円の特別定額給付金の支給が決定。

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、2021年9月までに合計3回発出されました。

2020年7月 都知事選 小池百合子氏圧勝

2020年7月には任期満了に伴う東京都知事選挙が行われ、現職の小池百合子氏が次点に約280万票の差をつけての勝利という結果になりました。

現職としての強みを活かしつつ、無党派層や与党支持層、野党支持層など幅広い支持を集められたことが結果につながったと推測されています。
小池百合子氏は新型コロナウイルスの影響を考慮し、街頭演説は行わず、ネットを中心に選挙戦を戦いました。

選挙戦で小池百合子氏は「東京大改革2.0」を掲げ、あらゆる人が自分らしく輝ける東京を目指して挑戦していく思いをアピール。
また新型コロナウイルス感染症対策として、疾病対策予防センターの創設や医療体制の強化などを訴えていました。

2020年9月 新・立憲民主党の旗揚げ

2020年9月、立憲民主党や国民民主党などが合流し、新・立憲民主党が旗揚げされました。

衆議院議員107人、参議院議員43人の合わせて150人での結党となり、100人を超える野党第一党が誕生しました。枝野幸男代表は結党大会で、政権交代への意欲を見せていました。

新・立憲民主党には、閣僚経験のある有力議員も多数参加。党内で派閥のようなグループも作られました。

2020年9月 菅内閣発足

2020年9月には菅内閣が発足しました。

2020年8月に持病の悪化を理由に安倍晋三氏が内閣総理大臣を辞任したことによる、自民党総裁選挙で菅義偉氏が圧勝をおさめ、内閣総理大臣に就任したのです。
発足当初内閣支持率は62%を超えるなど、国民からも高く期待されていました。

菅内閣は「2050年カーボンニュートラル」や「不妊治療の保険適用」、「デジタル庁の設立」「携帯電話料金の値下げ」などの政策を次々発表。

実務型と言われた菅内閣ですが、新型コロナウイルス感染症への対応に追われることが多く、本来やりたかったことができなかったのではないかという声も上がりました。

2020年11月大阪都構想住民投票で否決

2020年11月、「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われ、反対派多数で否決されました。

大阪都構想とは、大阪市を廃止して4つの特別区を設置する政策です。
賛成派、反対派による激しい論戦の末行われた住民投票の結果は、反対が69万2996票、賛成が67万5829票。
反対派が多数となったため、大阪都構想は実現しませんでした。

この結果を受けて大阪都構想を訴えていた、日本維新の会と大阪維新の会の代表で大阪市長の松井一郎氏は、市長の任期満了後に政界を引退する意向を明らかにしました。

2021年7月 都議選 自民33議席、都ファ31議席

2021年7月には東京都議会選挙が行われ、自民党が33議席を獲得し、都議会第一党となりました。
しかし最低ラインの目標としていた「自民党と公明党で過半数」には届きませんでした。

一方、前回の東京都議会選挙で躍進を見せた都民ファーストの会は、議席を14減らし、第一党の座を失いました。
ただ当初自民党の圧勝が予測されていただけに、健闘したとの意見も聞かれました。

2021年10月 岸田内閣発足

2021年9月、菅義偉氏の任期満了に伴い行われた自民党総裁選で河野太郎氏との決選投票を経て勝利をおさめた岸田文雄氏。
2021年10月、岸田内閣が発足しました。

20人の閣僚のうち13人が初入閣となったほか、副大臣・政務官人事で中堅や若手議員の登用も目立ちました。
岸田文雄氏はこの内閣を「新時代共創内閣」と銘打ち、社会変革や格差是正に積極的に取り組む意向を示しました。

2021年10月 衆院選自民党、絶対安定多数を単独で獲得

2021年10月14日に岸田文雄内閣が衆議院を解散したことを受け、衆院選が行われました。

10月31日の投開票に対し衆議院議員の任期満了日が10月21日だったため、現行の日本国憲法下では初めて、任期満了を超えて選挙が行われることになりました。

2022年2月 ロシア、ウクライナ軍事侵攻を開始

2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領は、各メディアに対して公表した演説の中でウクライナでの軍事作戦を開始すると述べました。
その後、ウクライナの首都キーウの近くを含むウクライナ各地で砲撃や空襲が開始されました。

これを受けて、ウクライナのゼレンスキー大統領は同日に戒厳令を発布、戦争状態に入りました。

2022年4月 物価高騰への総合緊急対策決定

2022年4月26日、政府は、物価高騰への「総合緊急対策」を決定しました。
対策には6.2兆円の国費を充て、民間支出などを含む事業規模は13.2兆円。
高騰が続くガソリン価格の抑制のため石油元売り会社に支給する補助金を拡充し、期限は9月末まで延長することを決定しました。

【参考】コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」

2022年4月 円急落、20年ぶりに一時131円台

2022年4月28日、日銀が金融政策決定会合で大規模金融緩和策の維持を決定したことを受け、外国為替市場で一時1ドル131円台に急落し、2002年4月以来約20年ぶりの円安水準となりました。

2022年6月 骨太方針2022閣議決定

2022年6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)が閣議決定されました。

人への投資に重点を置くほか、個人の金融資産を貯蓄から投資に促すための「資産所得倍増プラン」を年末までに策定する方針も明記された一方、岸田内閣の提唱する「新しい資本主義」実現に向けての具体策は先送りとなりました。

まとめ

前回参院選が行われた2019年夏から2022年に起きた出来事を振り返ってみました。

2020年は、新型コロナウイルス感染症が発生したことで、さまざまな方面に影響が出ました。

2021年は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が長期にわたる中、菅内閣を経て岸田内閣が発足し、衆院選では自民党が絶対安定多数を単独で獲得しました。

2022年は、ロシアのウクライナ軍事侵攻が始まり、物価高騰に対する総合緊急対策が行われました。

次の参院選は岸田文雄首相にとって事実上、初めて政権運営が評価される場となります。
参院選後は衆議院を解散しない限り2025年まで国政選挙がない「黄金の3年間」になるため、7月10日に行われる参院選は、今後の3年間の政権運営を占う機会となります。

この国政振り返り記事を、参院選の投票先選びの参考にしていただけるとうれしいです。

(執筆協力:内田文子

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