「人柱だったのか」豪雨被害怒り 集団訴訟、原告団長立石さん訴え

岡山地裁前で横断幕を掲げて行進する原告団=22日午前10時45分

 2018年の西日本豪雨で被災した倉敷市真備町地区の住民ら49人が、決壊した河川を管理していた国などに損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が22日、岡山地裁(上田賀代裁判長)であり、原告団長で岡山民俗学会名誉理事長の立石憲利さん(84)=総社市=が、自身の被害について意見陳述した。

 立石さんは00年ごろに倉敷市真備町辻田の2階建て住宅を購入し、書庫や書斎として活用していたと説明。豪雨で1階が水没し、民俗や民話に関する資料など5千点以上を廃棄せざるを得なくなり「極度に落ち込んだ」と述べた。

 その上で「大きな被害を出してようやく、堤防の補強工事など対策が進んだ。私たちは人柱だったのか」と怒りをにじませ、「国などの責任をはっきりさせないと被災者は浮かばれない」と訴えた。

 原告側弁護団によると、立石さんは5月に原告団長に就任した。岡山地裁では、別の被災者や犠牲者の遺族計215人も国などに損害賠償を求めて係争中。

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