物価高騰の中の参院選公示、福井県民の不安に政治はどうこたえる?

参院選公示のニュースを伝える大型ビジョン。物価高は家計を圧迫し、福井県民からは対策を求める声が相次ぐ=6月22日、福井県福井市のハピテラス

 物価高は家計を圧迫し、小売店も材料費などの高騰でぎりぎりの経営を強いられている。「節約にも限度がある」「店の苦悩を知ってほしい」―。参院選が公示された6月22日、福井県民からは余裕のない暮らしの実情を訴え、対策を強く求める声が聞かれた。

 福井市内のある「100円ショップ」。60代女性の買い物かごには、電子レンジで簡単に調理できる器具や、ラップ代わりに使うドーム型の樹脂製品が入っていた。「少しでも節約して料理できればと思って。マヨネーズやトイレットペーパー、野菜…。何でも高いから」。ある調査では、食用油のスーパーでの全国平均価格は1年で1.5倍に上昇。マーガリン、スパゲティ、食パンなども10%前後値上がりした。

 同市内のショッピングセンターに買い物に来た70代男性は「カップラーメンが高い」と困り顔。「参院選で候補者は物価高対策を掲げているが、きっと日常生活は変わらない」と嘆く。

 物価高は子育て世代の家計にも響いている。越前市のパン店に来た女性(39)は、5歳と2歳の子ども2人を育てる。1人目が生まれてから専業主婦だったが、少しでも家計を楽にしたいと、5月に美容系の自営業を始めた。

 子ども2人を保育園に預けられればフルタイムの勤務もできた。しかし本年度の入園選考に漏れ、「家で面倒を見るには短時間の自営業が精いっぱい」。食材費を抑えるため「野菜を栽培しようか」と真剣に考え始めている。子どもができ、政治に目を向けるようになった。「子育て世代の支援や、教育の充実を考えている候補者に投票したい」と語った。

 敦賀市のスーパー銭湯「越のゆ」敦賀店。65歳以上の入浴料が割引きになる毎週水曜日に訪れる男性(91)は「妻も高齢で自宅の風呂は掃除が大変なので銭湯を利用しているが、今後、値上げになると回数を減らさないといけない」と不安顔。会社員の男性(61)は、参院選で各党の原発に対する姿勢に注目しており「夏の電力不足が懸念されるし、嶺南の経済のためにも原発は動かした方がいい。ガソリンが高くて電気自動車に移行するにも電気は必要だろう」と話した。

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