第2のホルヘ・ソレアは現れるか トレード市場の隠れた注目選手

今夏のトレード市場ではカブスの正捕手ウィルソン・コントレラス、アスレチックスの右腕フランキー・モンタス、レッズの右腕ルイス・カスティーヨなど数々の大物選手が注目を集めている。しかし、現時点で注目度の低い選手の中にも、移籍後に大活躍する可能性を秘めている選手はいそうだ。その最大の例が昨夏の市場でロイヤルズからブレーブスに移籍し、ワールドシリーズでMVPに輝いた現マーリンズのホルヘ・ソレアだろう。移籍前のOPS.658から移籍後は.882をマークしたソレアに続く選手は今年も現れるのか。3人の候補をメジャーリーグ公式サイトのトーマス・ハリガン記者が分析している。

1人目はダイヤモンドバックスの一塁手、クリスチャン・ウォーカーだ。現時点での成績は打率.208、本塁打19、OPS.794。低打率に苦しんでいるように見えるが、今シーズンは選球眼が向上しており、ボール球スイング率やバレル%などの数字が昨年と比べて大きく上昇している。それを証明するかのように打率の期待値を示すxBAは.277を記録。実際の打率との差マイナス69ポイントは全体で3番目に不運な数字だ。

加えてウォーカーはファースト守備も優れており、仮に数字がそのままでも守備での貢献が期待できる。ダイヤモンドバックスと2024年まで契約を残しているため獲得のハードルは少々高いが、再建中のチームが現在31歳のウォーカーを放出する可能性は十分あると考えられている。

2人目に紹介されているのは、カスティーヨと同じくレッズに所属している右腕、タイラー・マーリーだ。昨年は180イニングを投げて210奪三振、防御率3.85の好成績を残し、今季は開幕投手も務めたが、ここまで防御率4.57と数字を落としている。一方で奪三振率や四球率、被バレル%、被xBAなどの数値にはほとんど変化がなく、昨年と同様のクオリティを示しているようだ。

マーリーの最大の武器は先発トップクラスの空振り率を誇るストレートで、2020年以降のストレートでの奪三振数224はヤンキースのゲリット・コールを抑えてメジャートップ。トレード市場が活発化するまでに数字を伸ばし、カスティーヨと同等の注目を集める選手になっている可能性も十分に秘めている。

最後に紹介されているのはタイガースのリリーバー、ジョー・ヒメネス。キャリア通算防御率5.49、今季防御率3.71と決して優れた数字ではないが、今季の投球内容は長足の進歩を遂げている。ストライクゾーンへの投球率を48.8%から53.8%に伸ばした一方で、ボール球を振らせる確率も24.4%から31.9%に向上。その結果、奪三振は増加させながら、与四球を大きく減らすことに成功した。チームメイトで今オフFAを迎えるマイケル・フルマーのほうがより注目されるのは間違いなさそうだが、ヒメネスもブルペンに補強が必要なチームにとっては大きな助けになる選手の1人となり得るだろう。

今年はプレーオフの出場枠が増えたため、より多くのチームが買い手として市場に参戦する可能性が高い。こうした現時点で注目度の高くない選手の見極めが、秋の結果を大きく左右しそうだ。

© MLB Advanced Media, LP.