マレリHD 事業再生ADR成立を断念、民事再生法の適用を申請

マレリの本社

 2022年3月に事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請していたマレリホールディングス(株)(TSR企業コード:022746064、法人番号:7010001178910、さいたま市北区日進町2-1917、設立2016(平成28)年10月、資本金1億円、代表取締役: デイヴィッド・ジョン・スランプ氏ほか)は6月24日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、民事再生開始決定を受けた。債権者の全ての金融機関から同意を得ることが難しくなり、法的整理による事業再生を目指す。
 申請代理人は藤原総一郎弁護士(森・濱田松本法律事務所、千代田区丸の内2-6-1)。

 負債総額は債権者26名に対し、約1兆1330億円。
 負債総額は、2022年で最大。これまでの新型コロナ関連の経営破たんでも過去最大。負債1兆円超えは2017年6月に民事再生法の適用を申請したエアバッグメーカーのタカタ(株)(現:TKJP(株)、TSR企業コード:295877413)以来、約5年ぶり。これまでの全ての経営破たん(1989年以降)では、歴代9番目。

 事業再生ADRはマレリHDほか子会社4社が申請していたが、マレリHDのみが民事再生法を申請。金融機関のみを対象とし、マレリグループの国内外の事業子会社や、取引先に影響はないとしている。
 

 マレリHDは、日産自動車を主力とした大手部品サプライヤーの旧:カルソニックカンセイ(株)が前身企業で、米国投資ファンドのKKRグループが買収後、イタリアの大手自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリと経営統合し、事業規模を拡大していた。しかし、「新型コロナウイルス」による自動車メーカーの生産台数の落ち込みや半導体不足、で経営不振となり、1兆円を超える金融負債が重荷となっていた。
 現株主のKKRをスポンサーとし、金融機関から債権放棄など約4500億円の金融支援を受けるほか、人員削減などを柱とした事業再生ADRの成立を目指していた。しかし、上海ロックダウンなどもあり、業況の悪化が続いていた。
 こうしたなか、当社が提案した事業再生計画について、全ての金融機関からの同意を得られず、今回の措置となった。

 東京商工リサーチ(TSR)が2022年2月に発表した「マレリグループ国内取引状況」調査によると、直接の仕入先は471社で、うち8割(377社)が資本金1億円未満の中小企業だった。間接を含めた2次仕入先の総数は2545社に及ぶ。

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