<南風>人生を変える選択

 2019年、海外から新型コロナウイルス発生の一報が届いてから、約2年半が過ぎた。この未曽有の事態は、私たちを取り巻く社会を大きく変えた。そして今後はコロナと共にどう生きるかを考え、多くのことを取捨選択していかなくてはならない。

 人生の岐路に立った時、どちらの道を選ぶかを決めるのには、勇気が要る。この選択は正しいのか、良かったのか、人は迷いながら前へ進んでいく。私は、人生の岐路に立った時、どの道に進んでも、自分の選択に後悔することはないと、思えるようになってきた。

 この考えに至るまでにはいくつかの出来事があったが、一番古い記憶は、高校受験である。私は、希望する学科へ合格することがかなわなかった。苦渋の決断で第2志望を選択し、高校生活が始まった。最初は後ろ向きであった始まりは、3年の高校生活を終える頃には、人生の中で有意義な時間となった。

 この進路決定を本当に良かったと思えるようになったのは、社会に出て多くの場面を経験してからである。過去のつらい出来事を変えることはできないが、今が幸せであれば捉え方が変わり、よき選択だったと言えるようになるのだ。

 大きな決断をする時、自分に言い聞かせる言葉がある。「目の前の出来事は今の自分にとって必要な経験。たとえ困難だと思うことでも、この先きっと大きな財産になる」。未来の自分の幸せに必ずつながると信じ前に進むことができる。

 コラムは今回で最終回を迎える。2週間に1度の締め切りは短く、大変であったが、執筆はこれまでの自分の人生を振り返るとても良い時間となった。きっと、この半年の経験も、私の人生を大きく変える出来事になったであろう。この先も執筆を通して私の思いを伝える機会が持てることを願う。

(比嘉佳代、おきなわedu代表取締役)

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