旧町の思い継承を よしかわ杜氏の郷 民間売却方針で説明会 上越市

 上越市は24日、吉川区にある第三セクター「よしかわ杜氏の郷」を民間に売却する件について、吉川コミュニティプラザで地元住民向け説明会を開いた。約30人が出席した。

住民30人が出席、市の担当者に対し吉川区の酒造文化を継承してほしいと要望した

 「杜氏の郷」は市が約1億5000万円を出資しているが、2015年度から21年度まで7期連続で純損失を計上。市は民間による事業再生を目指し売却方針を固めた。引受先の公募は7月中旬から行い、年内に売却の契約を締結したい考え。売却価格は発行済み全株式に市が行った株式評価の額を乗じた約3000万円が目安となる。 
 市産業政策課の五十嵐裕課長は、売却先にも同区の日本酒醸造文化を守り、地域振興に資するという従来の方針を継承してもらうと説明。同区で生産される酒米と水を使うことを条件にしていること、同区に所在する企業を選定の際に優位とする評価基準を設ける、とした。
 住民の一人は「経営不振に関する検証は行われたか。市は株主として、どう反省したか」と質問。五十嵐課長は「筆頭株主として経営にできる限り関与してきた。しかし行政から社長を送り込んだことで常勤できなかった。増資するか民間譲渡か、あるいは廃止か。選択の中で民間譲渡を選んだ」と答えた。他に「従業員の考えを最優先してほしい」「設立当初の旧吉川町の思いを絶対に継承してほしい」といった要望が上がった。
◇社長に小田副市長
 よしかわ杜氏の郷は同日、定時株主総会と取締役会を開き、同日付で野口和広社長(上越市副市長)が退任し、後任の社長に小田基史副市長が就任した。

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