戦前・戦中世代 減少進む 22年・人口比10%切る→30年・5%切る NIAC推計 沖縄戦継承に影響

 1945年以前に生まれた「戦前・戦中世代」の人口が2022年中に沖縄県内で約14万1千人となり、総人口に占める割合が9.6%となる予測が出ている。県内の社会・経済動向を調査するシンクタンク南西地域産業活性化センター(NIAC、大嶺満会長)が28日までに推計した。これまでも、沖縄戦の体験を語れる世代の減少で記憶の継承が困難になると指摘されていたが、今回の予測で課題が顕在化した。

 NIACの予測によると、2020年に約15万9千人だった戦前世代は27年に10万人を下回り、31年は約6万5千人まで減少する。総人口に占める割合は22年に1割を切り、30年に5%を下回る見込みだ。

 予測は2020年の国勢調査を基に算出した。自然増減(出生数、死亡数)と社会増減(転入、転出)に分けてそれぞれの将来値を仮定し、人口を推計する「コーホート要因法」を用いた。コロナ禍の影響は考慮しておらず、実際の数値とずれが生じる可能性もある。

 戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶため、県内の小中高校で平和学習が行われていて、戦前世代は「語り部」として重要な役割を担ってきた。ただ、高齢化に伴って講話の設定が困難になり、学習内容も変化しつつある。

 継承の取り組みとして、体験者の証言を収録した県史や市町村史を活用した平和学習が始まっている。戦後世代の語り部も登場している。 

 (稲福政俊)

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