参院選長崎選挙区 支部新設の政党、政治団体 幹部投入、SNS拡散で浸透図る

演説に耳を傾ける人々。本県に支部を新設した政党や政治団体も候補者を擁立し、浸透を図っている=長崎市内

 参院選長崎選挙区(改選数1)には、これまで本県に足場がなく新たに支部を設立した政党や政治団体も候補者を擁立。党幹部を相次いで投入したり、交流サイト(SNS)で情報を拡散したりして、浸透を図っている。
 「自民党に活を入れ、ピリッとさせるのが野党の役目。皆さんの力で維新の会を野党第1党に押し上げていただきたい」。気温30度超の真夏日となった26日の長崎市。日本維新の会の馬場伸幸共同代表は山田真美候補(50)の応援に入り、額に汗を光らせながら熱弁を振るった。3日前には藤田文武幹事長も駆けつけ、公示前には松井一郎代表も同市内でマイクを握り、維新の露出を高めている。
 大阪が本拠地の維新は、昨秋の衆院選で議席を伸ばし、第3党に躍進。ローカル政党から全国政党への脱皮を目指し、本県にも5月に県総支部を設立した。だが支持団体はなく、街頭演説の聴衆もまばら。「地道に訴えていくしかない」(支部幹部)のが実情だ。「働くお母さん」として挑む山田候補は、子育て支援の拡充や教育無償化を掲げ、支持拡大を急いでいる。

 27日、長崎市中心部の鉄橋。平日の昼間にもかかわらず中高年層を中心に人々が集まり、熱気に包まれていた。聴衆の視線の先にいたのは政治団体「参政党」の事務局長、神谷宗幣氏。同団体の尾方綾子候補(47)の応援で来崎した。「参政党が今一番やりたいのは皆さんに政治に参加してもらうことなんです」。炎天下、演説は約1時間に及んだが、途中で立ち去る人はほとんどいなかった。
 同団体は神谷氏らが2020年4月に設立。全国各地に支部を展開し、本県の支部も今月初めに発足した。同支部によると、全国の「党員」は約6万9千人。県内も当初の30人から約2週間で180人に増えた。
 支持拡大の主戦場はSNS。27日の街頭演説で記者が取材した聴衆7人のうち6人がSNSで団体の存在を知って訪れていた。

 立憲民主の白川鮎美候補(42)の陣営関係者は「現状に不満を持ち、今を変えたいという無党派層の票が割れる」と警戒。「ただ、考え方、立ち位置が違う。しっかり自分たちの戦いをするだけだ」と話す。自民の山本啓介候補(47)の陣営関係者は「特に維新は来春の統一地方選や、次期衆院選に向け、組織づくりをしているようだ」とみている。
 長崎選挙区には共産の安江綾子候補(45)、NHK党の大熊和人候補(52)も立候補している。

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