参院選・長崎 『公示まで1週間』で臨戦モード 7新人乱立・過去最多の争いか

(写真上右から)山本啓介氏、 白川鮎美氏 、山田真美氏 、安江綾子氏 (写真下右から)大熊和人氏、 尾方綾子氏、田中隆治氏

 国会は15日に会期末を迎え、1週間後の22日に予定されている参院選公示に向け事実上の号砲が鳴る。長崎選挙区(改選数1)の構図はほぼ固まり、自民党、立憲民主党、日本維新の会、共産党、NHK党、諸派、無所属の新人計7人が立候補を予定し、乱立模様となっている。県選管によると、全員が出馬すれば過去最多となる。各陣営の直前の動きをリポートする。
 自民の山本啓介氏(46)は11日、佐世保市で事務所開き。保守分裂となった2月の知事選で県連幹事長だった山本氏らと対立した首長や県議らも出席し、挙党態勢をアピールした。山本氏は今期限りの引退を表明した農相の金子原二郎参院議員の後継に決まった後、党内融和に腐心。訪問先で批判を受けることもあったが、「一定の理解は得られた」(陣営関係者)という。ただ知名度不足は否めず、陣営は岸田内閣の堅調な支持率を背景に漂う楽観論も警戒する。
 立憲民主の白川鮎美氏(42)の陣営は、連合長崎など労働4団体、国民民主、社民両党県連とつくる「7団体懇話会(7者懇)」を中心に総合選対を編成。地区選対も県内10地域で発足した。一方、市民団体が立民県連と共産党県委員会に呼びかけていた候補一本化は消滅。連合が共産との選挙協力に否定的で、立民県連は当初から消極姿勢だった。白川氏は12日、地元の佐世保市で山田勝彦衆院議員(比例九州)らと街頭に立ち、消費税5%への減税などを訴えた。
 維新は山田真美氏(50)の応援で、松井一郎代表が11日に長崎市中心部を訪れてマイクを握った。演説後、報道陣に「長崎ではまだ維新への理解は深まっていない」と話し、浸透を図るため「地道な活動を積み上げるしかない」と強調した。5月末に党県総支部を設立。“手足”が少ない中、各地を街宣車で回るなどし、支持拡大を図っている。昨年の衆院選では県内で比例票約4万4千票を獲得。山田氏は「維新の政策を丁寧に訴え、新たな選択肢を示す」と意気込む。
 共産の安江綾子氏(45)は県内各地を回り、支援者との対話集会や街頭活動を地道に続けている。「戦争か平和か、国民の暮らしをどう守るかが掛かった大切な選挙」として核兵器廃絶や、戦争放棄などを定めた憲法9条を生かした外交を中心に訴える。党県委員会は「最近は物価高騰で大変との声を聞くことが多い」といい、賃金底上げなどの経済政策の浸透にも力を入れる。
 N党の大熊和人氏(52)は動画投稿サイト「ユーチューブ」でNHK受信料の無料化などの主張を発信。政治団体「参政党」の尾方綾子氏(47)は郷土教育の充実などを掲げ、無党派層の取り込みを狙う。無所属の元大学助手、田中隆治氏(78)は公約をまとめたりポスターを準備したりしている。


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