岡山空襲77年 平和へ思い新た 市戦没者追悼式で遺族ら献花

岡山市戦没者追悼式で平和都市宣言を朗読する児童生徒

 岡山市街地の約6割を焼き尽くした岡山空襲から77年を迎えた29日、市戦没者追悼式が市民会館(同市北区丸の内)で開かれた。遺族や児童生徒ら約200人が参列し、犠牲者を悼むとともに平和への思いを新たにした。

 この1年で新たに身元が判明した2人を含む犠牲者1468人の名簿を祭壇に奉納。戦地で亡くなった市出身者も合わせて冥福を祈り、約1分間の黙とうをささげた。式辞で大森雅夫市長は「先の大戦でかけがえのない多くの命が失われた。いつまでも安心して暮らせる岡山市とするため、市民の皆さまと心を一つに、たゆみない努力を続けていくことを誓う」と述べた。

 追悼の言葉で、市戦災遺族会の岡野征二会長(77)=岡山市北区=はロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ「この地球上で同じことが繰り返されている。戦争の教訓を風化させず、後世の若者に語り継ぎたい」と話した。生徒代表の同市立上南中2年岡部竜斗さん(13)は「戦争を知らない私たちだからこそ、平和に暮らせる今を守る義務がある。過去を学び、次の世代へバトンをつないでいく」と誓った。

 新型コロナウイルス感染拡大で2020、21年度の式は規模を縮小し、市役所内で営んだが、本年度は3年ぶりに会場を市民会館に戻した。参列者は一人一人が献花台に花を手向け、小中学生5人が壇上で「平和都市宣言」を朗読した。

 1945年6月29日未明の岡山空襲では、B29爆撃機138機が焼夷(しょうい)弾約9万5千発を投下。亡くなった人は岡山市史が1737人と伝えているほか、2千人を超えるとの研究者の分析もある。

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