【全薬剤師必見】改正薬機法対応の「法的知識の基礎」作成・公表/日本薬剤師会/「薬局・薬剤師のための 医療安全にかかる法的知識の基礎(第2.1 版)」

【2022.06.29配信】日本薬剤師会は6月29日に会見を開き、「医療安全にかかる法的知識の基礎(第2.1 版)」を作成したことを報告した。先般の改正薬機法に対応したもの。改正薬機法では管理薬剤師が開設者に意見を述べる義務も規定しているため、現場の薬剤師が持っておくべき必須知識といえる。日本薬剤師会のホームページから誰もが閲覧することができる。https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pharmacy-info/chisiki_2022.pdf

フォローアップ義務:処方された薬剤や患者の状態などから必要があると判断すべきであるにもかかわらず、患者情報の把握や指導等を適切に行わなかったために、患者に健康被害が起こった場合などには、薬局開設者や薬剤師が損害賠償等の責任に問われる可能性

公表された資料では、2019 年の医薬品医療機器等法及び薬剤師法の改正で、薬剤師に薬剤の使用期間中のフォローアップが義務付けられ、薬局の定義も「調剤の業務を行う場所」から、「調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所」と改正になったことを解説。
このことから、「患者の状況を把握した上での、薬剤師による対応はより一層重要となる」とする。加えて、「薬剤師は、適切と判断した処方箋にしたがって薬剤を交付することと併せて、服薬に関する指導などの対人業務について適切に行うことが基本である。その際には、医薬品の管理も重要であり、医療安全上及び法律上においても薬剤師の管理による対物業務は必須である。したがって薬剤師は対人業務及び対物業務に関する法的な理解が必要であり、医薬品の提供においては、患者の状況・薬剤の種類などから状況に応じた対応が要求される」としている。

フォローアップ義務については、次のように解説している。


このフォローアップは、すべての患者について対応が求められるわけではなく、薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合に求められる義務である。患者の様々な状況に応じて薬剤師が必要性を判断することになるが、処方された薬剤や患者の状態などから必要があると判断すべきであるにもかかわらず、患者情報の把握や指導等を適切に行わなかったために、患者に健康被害が起こった場合などには、薬局開設者や薬剤師が損害賠償等の責任に問われる可能性がある。まだ薬剤師がフォローアップに関して損害賠償等をされた裁判例等はないが、処方後の医師の経過観察が適切ではなかったとして医師が訴えられた例は存在する。

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