自転車保険きょうから義務化 栃木県内加入なお途上

サイクルベースあさひ宇都宮東店では自転車保険加入が周知されている=6月下旬、宇都宮市内

 今春の県自転車条例施行に伴い、自転車保険の加入が1日、義務化される。県内の高校などは自転車通学者に加入を促し、自転車専門店では保険付きの点検整備済証を求める客が目立つ。一方、県内の加入率は約5割にとどまり、県は周知や加入促進を図っている。

 全国的には自転車で歩行者をはね重傷を負わせた運転手側に約9500万円の支払いを命じた判決などがある。義務化は、被害者保護などのためだ。

 賠償額に関する規定や未加入の罰則はない。各保険会社の自転車利用者向けの保険は、年間3500~6千円程度の保険料で加入できる。自動車保険などの特約でも付帯でき、賠償額が最大数億円の保険もある。

 宇都宮市一の沢1丁目の作新学院高は、本年度の1年生に入学前に義務化を伝えた。1年生の加入率は9割以上で、担当者は「2、3年生は7~8割。継続して指導したい」としている。

 同市平松本町の自転車専門店「サイクルベースあさひ宇都宮東店」では、自転車安全整備士が点検整備した証明となり、付帯保険もある「TSマーク」を求める客が増えているという。店側は、通勤で自転車を使う人が会社から促されているとみる。

 一方、au損害保険が今年1月に行った調査によると、県内の加入率は48.8%で全国平均の62.6%を大きく下回る。通学で自転車を利用する小山市、大学2年男子学生(19)は「高額賠償事案は身近なこととは思えない。加入はまわりの状況をみて考えたい」と話した。

 県くらし安全安心課の担当者は「事故がないことが一番だが、起こしてからでは遅い。加入を今後も促したい」としている。

自転車安全整備士が点検整備した証明となるTSマーク=6月下旬、宇都宮市内

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