ISSのリブーストも実施した無人補給船「シグナス」運用17号機のミッションが終了

【▲ 国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアーム「カナダアーム2」に把持された放出前の無人補給船「シグナス」運用17号機。2022年6月28日撮影(Credit: NASA)】

日本時間2022年6月28日20時7分、補給ミッションのため国際宇宙ステーション(ISS)に係留されていたノースロップ・グラマンの無人補給船「シグナス」運用17号機がISSを離れました。ISSのロボットアーム「カナダアーム2」を使って放出されたシグナス補給船は、船外に搭載されていたロスアラモス国立研究所の超小型衛星「NACHOS」を放出した後、6月29日に大気圏へ再突入してミッションを終えています。

シグナス補給船運用17号機は日本時間2022年2月20日2時40分に米国バージニア州のワロップス飛行施設から打ち上げられ、翌2月21日にISSへ到着しました。運ばれた合計約3800kgの補給物資には、宇宙飛行士の生活用品や実験装置をはじめ、国内で開発された超小型衛星「KITSUNE」や全固体リチウムイオン電池も含まれていました。

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また、2022年6月25日にはシグナス補給船のエンジンを使ったISSのリブースト(軌道上昇)も行われました。シグナス補給船のエンジンを301秒間噴射させたことで、ISSの軌道は遠地点で0.1マイル(約0.2km)・近地点で0.5マイル(約0.8km)引き上げられています。

高度約400kmの地球低軌道を周回しているISSは、わずかな大気の抵抗によって少しずつ減速し、高度が下がっています。そのため、ISSでは補給船のエンジンを使って軌道を修正するリブーストが定期的に実施されています。リブーストはこれまでにアメリカのスペースシャトルや、ロシアの「プログレス」および欧州の「ATV」といった無人補給船を使って実施されてきましたが、スペースシャトルとATVはすでに運用を終えていて、ここ数年間はプログレス補給船がリブーストの役割を担っていました。

なお、シグナス補給船運用17号機によるリブーストは6月20日にも試みられましたが、飛行時とは異なるシステムパラメータが原因となって、この日は開始から5秒で中断されていました。シグナス補給船を使ったISSのリブーストは、2018年7月に運用9号機で実施されたテスト以来となります。

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  • Image Credit: NASA
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  • Northrop Grumman \- Northrop Grumman’s Cygnus™ Spacecraft Successfully Reboosts the International Space Station

文/松村武宏

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