春の院展倉敷展が開幕 日本画の優品104点展示

現代日本画の優品の数々を鑑賞する美術ファンら

 第77回春の院展倉敷展(倉敷市、同市文化振興財団、同市教委、日本美術院、テレビせとうち、山陽新聞社主催)が2日、同市中央の市立美術館で開幕した。現代日本画の巨匠や新鋭が描いた多彩な優品の競演が美術ファンらを魅了している。10日まで(会期中無休)。

 東京で今春開かれた「春の院展」から104点を展示。中でも現代日本画壇をリードする日本美術院同人の35点が目を引く。井手康人さんの「不二」は新型コロナウイルス禍の影響で、長年取材するバリ島から対象を富士山に移し、朝もやから頂上部をのぞかせる霊峰を表現。中村譲さんの「男木」は高松市・男木島の民家とトビウオの群れを躍動感あふれるタッチで描いた。

 平和への思いを込めて少女や白馬を色鮮やかに描写した藤田和美さんの「“Friedens―Traum”」など、岡山県内の出品者4人の作品を含む入選作も注目を集める。

 新型コロナウイルス対策として会場入り口で検温や消毒を実施。入場者らはじっくりと鑑賞していた。

 毎回訪れるという倉敷市の女性(74)は「伝統美と確かな技法に裏打ちされた院展の作品は親しみやすい。心の栄養になります」と静かに見入っていた。

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