段ボールを独自の手法で立体作品にする造形作家、玉田多紀さん(39)=埼玉県=の企画展「呼吸するダンボール」(福井新聞社共催)が7月2日、福井県あわら市の金津創作の森美術館で開幕した。迫力満点ながら、どことなく愛嬌がある海や陸の生き物約80点が来館者を楽しませている。
玉田さんが段ボールの造形を手掛けたのは多摩美術大学在学中。段ボールでつくった土台に、薄く剥がした段ボールの紙を幾重にも張り重ねて、独特の質感を生み出している。
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企画展では、クジラやジンベエザメ、恐竜など最大で全長10メートルもある大型作品が並ぶ。目を引くのは生き物の皮膚部分で、薄く剥がした段ボールを継ぎはぎすることでリアルな質感を表現している。環境問題は玉田さんの近年のテーマの一つで、ごみに埋もれた海から顔を出すクジラの姿もある。作品には、金津中学校美術部員が協力して細かくちぎった段ボール片を使ったものもある。
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この日、作品解説した玉田さんは、絶滅危惧種の生き物を作品にすることで環境問題の現実を伝えていると話した。家族で訪れた福井市の女性(47)は「生き物たちはリアルであり、かわいらしさもあって面白い」と話していた。作品解説は8月20日もある。8月28日まで。