7月はすでに37件判明、コロナ破たんが増加傾向

 7月4日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が13件判明、全国で累計3,627件(倒産3,489件、弁護士一任・準備中138件)となった。
 2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加。2022年も毎月100件以上が続き、6月も212件と過去2番目に多かった。2022年6月までの累計は前年同期の3割増の1,029件(前年同期比30.7%増)となった。前年より約2カ月早く1,000件を上回り、7月に入っても4日までに37件が判明した。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計191件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で3,818件に達した。6月は227件とこれまでの月間最多を更新し、再び増加傾向に転じている。
 外国人観光客の受け入れ再開、旅行補助「県民割」対象拡大の見通しなど、消費回復への期待も膨らんでいる。一方、経済活動が活発化すれば運転資金の確保も経営課題に浮上するほか、アフターコロナへの対応に伴う資金需要も発生する。
 政府主導の「中小企業活性化パッケージ」の関連施策など、企業支援は拡充されている。だが、業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業は増加している。  コロナ関連融資を得ながらも息切れするケースも散見され、コロナ破たんは引き続き高水準で推移する可能性が高い。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 広島県で80件目、100件以上は8都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が775件と全体の2割強(構成比21.3%)を占め、突出している。以下、大阪府357件、福岡県183件、愛知県179件、神奈川県160件、兵庫県156件、北海道145件、埼玉県134件と続く。
 4日は全国で13件判明し、広島県では80件目となった。10件未満は1県、10~20件未満が4県、20~50件未満が24県、50件以上100件未満が10府県、100件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の590件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で590件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が402件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の273件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が160件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が136件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した3,589件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,339件(構成比37.3%)、次いで1億円以上5億円未満が1,149件(同32.0%)、5千万円以上1億円未満が696件(同19.3%)、5億円以上10億円未満が205件(同5.7%)、10億円以上が200件(同5.5%)の順。
 負債1億円未満が2,035件(同56.7%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも9件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した3,489件の形態別では、破産が3,116件(構成比89.3%)で最多。次いで民事再生法が144件(同4.1%)、取引停止処分が138件(同3.9%)、特別清算が73件、内整理が14件、会社更生法が4件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した3,478件の従業員数の合計は3万4,045人にのぼった。
 3,478件の内訳では従業員5人未満が1,970件(構成比56.6%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が687件(同19.7%)、10人以上20人未満が440件(同12.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は26件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

0704以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

0704未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

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