復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月5日「異常物価は沈静化」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 日本「復帰」直後の1972年7月5日の琉球新報1面トップは、「『田中総裁』ほぼ確実/きょう自民党大会で選出/福田氏と決選投票へ/大平、三木両氏 二位食い込み必至」との見出しで、5日の自民党総裁選を前に見通しを示す記事を掲載している。
 そばには関連で「田中氏もいったん了承/1、2位連合で福田氏語る」との見出しで、総裁選に出馬している福田赳夫氏が、「2位になったら必ず1位に協力して党の団結を保つ」との立場で優勢な田中角栄氏と「1、2位連合」を申し合わせていたと福田氏が明らかにしたことを伝えている。その後、田中氏から意思表明がないまま、田中氏と大平正芳、三木武夫両氏の3派連合の話が進んでいき、田中氏が総裁への道を盤石なものとしていった経緯にも触れている。
 復帰に伴う沖縄県内の物価が異常に高騰して政府も対策に乗り出していた問題で「異常物価は沈静化/政府、今後も一斉調査続ける」との見出しで、沈静化してきていることを伝えている。記事によると、政府の現状分析として「復帰直後の消費者物価上昇は漸次沈静化している」「だが、なお高い価格水準を続けてえいる物資もあり、適正価格への行政指導、物価動向調査を継続する」「沖縄物価の長期的な安定達成のため適切な対策を立案する」ことを確認したという。
 このほか朝鮮半島情勢をめぐり「南北統一/国内矛盾激化の恐れも/難問かかえる韓国」との見出しで、ソウルと平壌で発表された南北統一に関する7原則を受けて、朝鮮半島統一に向けた政治交渉が本格的に始まるとの見通しを示している。
 
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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。  

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