火災発生から2年 調査続くも依然真相は明らかにならず 消防隊員と警察官4人殉職の工場火災=静岡・吉田町

消防隊員と警察官あわせて4人が死亡した吉田町の工場火災から7月5日で2年が経ちました。火事の原因をめぐっては調査が続いていますが、真相は明らかになっていません。

静岡市消防局が管轄する3市2町の首長などが参加した消防の運営協議会では、冒頭に黙とうが行われ、殉職した職員を悼みました。

2020年7月5日未明に吉田町川尻の「レック静岡第2工場」で発生した火事では、予見が難しい爆発的な燃焼により、工場全体に延焼。工場内を調べていた吉田消防署の消防隊員3人と牧之原警察署の警察官1人が逃げ遅れました。

<静岡市 田辺信宏長市長>

「二度とこのような事故を起こさないよう災害現場における安全管理の徹底、消防職員の教育訓練の強化に全力で取り組む」

レック静岡第2工場があった場所は更地になっています。慰霊式には社員など43人が参列し、亡くなった4人を表す4本の石柱に花を手向けました。レックは、第2工場で薬品を扱っていた事を踏まえ、火事の後、「化学原料評価部」を設置し、安全管理体制を強化しているとしています。

<レック 貝方士利浩専務>

「我々残されたものとしては、しっかりと安全対策をして、何年も従業員に対して無事故で、絶対安全でいこうということを語り継いでいく」

3人の消防隊員が所属した吉田消防署では、再発防止を誓い、献花台に花を手向けました。この火事の原因をめぐっては明らかになっておらず、静岡市の事故調査委員会がまとめた報告書については「警察による捜査が続いている」として非公開の状態が続いています。

<静岡市消防局 池谷明彦消防部長>

「(火災の報告書が公表されていないが?)捜査に支障がないところで、これから公表していきたいと考えている」

4人が犠牲になったこの火事について、企業や自治体などそれぞれが原因調査をしてきましたが、原因はまだはっきりと示されていません。レックが独自に設置した事故調査委員会は、出火原因や出火場所は2021年4月「特定できなかった」と発表しました。

静岡市の事故調査委員会は2021年7月に報告書をまとめていますが、「警察による捜査が続いている」として非公開の状態が続いています。静岡市消防局と消防庁は現在も調査中。警察の捜査は現在も継続中で、まだ内容を発表できる段階ではないということです。

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