西日本豪雨4年 日常へ復興徐々に 岡山県内、長期的支援は必要性増

真備総合公園(倉敷市真備町箭田)内の建設型仮設住宅。被災者の退去が決まり、建設型仮設団地の入居者は二万(同町上二万)のみとなる=1日

 岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした2018年7月の西日本豪雨は、6日で発生から4年を迎えた。被災地は復興が進みつつあり、失われた日常が戻ってきた。一方で、今なお仮設住宅暮らしを続ける被災者がおり、自宅を再建できても悩みや不安を抱える住民は少なくない。長期的な支援の必要性は増しており、災害の教訓をどう継承していくのかも課題だ。

 県によると、18年11月にピークだった仮設住宅入居者(3415世帯9074人)は、6日には10世帯24人になる見込みだ。県内に8カ所あった建設型仮設団地は倉敷市の2カ所になり、同日までに真備総(同市真備町箭田)の被災者の退去が決定。入居者は二万(同町上二万)だけとなる。多くは住まいを確保し、住み慣れた場所や新しい地域での生活へ移行している。

 県内最大の被害が発生した倉敷市真備町地区では、水が張られた田んぼに青々とした苗が並ぶ。日が落ちると一つ、また一つと家々に明かりがともり、河川堤防の決壊で濁流にのみ込まれた“あの日”からの順調な復興を印象づけている。

 真備町地区を流れる小田川と、高梁川との合流点付け替え工事の進捗(しんちょく)率は6割超。23年度完了へ折り返しを迎えている。破損・崩落した河川や道路約2800カ所を元通りにする工事も大半が完了し、ハード面の整備は見通しが立った。

 被災者を巡っては、倉敷、総社市が個別訪問などによる見守り・相談支援事業を継続中。事業支援を担う県くらし復興サポートセンターのまとめによると、被災者からの相談は、居住関係が多かった被災当初から、健康や医療、介護、福祉といった内容にシフトしている。新型コロナウイルス禍がいまだ収束せず、人々のつながりが希薄になる中、支援の網の目をより細かくして最後の一人まで支える取り組みが欠かせない。

 県内では、逃げ遅れなどで61人が死亡し、34人が避難中のストレスや疲労などによる災害関連死と認定されている。高梁、新見市と鏡野町の行方不明者3人も未発見のままだ。

 真備町や総社市では6日、追悼式開催が予定されており、被災地は鎮魂の祈りに包まれる。

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