西日本豪雨4年 復興へ決意新た 倉敷、総社で追悼式 遺族ら黙とう 

倉敷市の追悼式に参列し、犠牲者に黙とうする遺族ら=6日午前10時6分、マービーふれあいセンター(代表撮影)

 2018年7月の西日本豪雨から4年を迎えた6日、大規模な浸水被害で多くの住民が犠牲になった倉敷、総社市で市主催の追悼式が営まれた。遺族らが亡くなった人に祈りをささげ、「地域の力を結集し、災害に強いまちをつくる」と復興への決意を新たにした。

 災害関連死23人を含む75人が亡くなった倉敷市の追悼式は、甚大な被害が及んだ真備町地区にあるマービーふれあいセンター(同町箭田)であり、遺族や住民代表ら約60人が参列した。

 犠牲者の名前が読み上げられた後、全員で黙とう。伊東香織市長が「被災した方が一日も早く元の生活を取り戻せるよう、一人一人や地域の状況に合わせながら支援を行い、復興への歩みを進めたい」と式辞を述べ、伊原木隆太岡山県知事は「暮らしと地域経済の復興に全力で取り組むとともに、防災力強化に努める」と力を込めた。

 同町有井の自宅で亡くなった平松房子さん=当時(87)=の長男頼雄さん(69)=倉敷市=が遺族を代表し「もう少し早く避難を促せていればと悔やまれるが、母からは身をもって命の大切さ、早めの避難の大切さを教えてもらった」とあいさつ。命を守る備えを伝えるため、昨年防災士の資格を取得したとし「地域の自助・共助を図っていくことで、母も喜んでくれるのでは」と述べた。

 住民代表で真備地区まちづくり推進協議会連絡会長の黒瀬正典さん(68)=同市=は「豪雨の記憶を伝承しながら、災害に強いまちづくりに取り組む」と誓った。会場には献花台が設けられ、参列者が白菊を供え手を合わせた。

 総社市は市役所玄関前で「7月豪雨災害4周年式典」を行った。住民代表ら約150人が犠牲になった12人(関連死8人を含む)に黙とうをささげた後、片岡聡一市長が「復興は終着地点が見えてきた。あの日の教訓を決して忘れず、市民の命と財産を守るため全力を尽くしたい」とあいさつ。出席者が、大きな被害を受けた下原、昭和地区で“復興のシンボル”として育てたヒマワリを献花した。

 豪雨による死者は災害関連死を含め岡山県が95人、広島県が151人、愛媛県が33人。岡山県によると、県内では6日現在、10世帯24人が仮設住宅で暮らしている。

倉敷市の追悼式で、遺族代表であいさつする平松さん=6日午前10時31分、マービーふれあいセンター(代表撮影)

© 株式会社山陽新聞社