高校生が関心「若者の投票率」「地域交通」聞いてみた 福井の参院選候補者に直撃インタビュー(中)

福井県立勝山高校×参院選候補者

 「自分ごと」に感じる社会課題の解決策を考える探究学習に福井新聞と連携して取り組んだ福井県立勝山高校1年生が、参院選公示前に福井選挙区の4候補に、特に関心が高かった4項目をぶつけた。立候補表明が公示直前となった2候補には、高校生たちの問題意識に対する意見を聞いた。

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山崎正昭氏「若者の意識、将来に効果」

 森下倫瑠さん、岩岡凌佑さん(勝山高校1年生) 私たちは若者の投票率を上げるため、投票した若者にクーポン券を配る政策を考えました。新科目「公共」で政治や選挙を学んだ高校生が、小中学生に出前授業することも有効だと思います。

 山崎 主権者教育は重要。小中学生から意識を持つ人が増えれば、国の将来にとてもいい効果があるだろう。他方で、投票などの参政権は憲法で保障された基本的人権の一つ。世界の人々が長い歴史の中で勝ち取ってきた権利であることを考えると、クーポン券などの対価を与えて投票を促すアプローチは適切ではないのかもしれない。

 森下、岩岡 普通に投票できることは、私たちが思ってた以上に重く、大切なことなんですね。ただ、社会は変わっている。歴史の重みを知った上で、より多くの意見を政治に取り入れるためには新しいやり方に挑戦していかないと、若者の投票率が低い現状を変えることは難しいかも。

 若者の低投票率は国会で議論になっていますか。

 山崎 先の国会でも高校や大学への移動期日前投票所の設置、インターネット投票の解禁などについて議論された。ネット投票は管理人、立会人不在で投票を認めることの是非、一斉アクセスに対するシステムの安定性確保といった課題もあることから、丁寧に検討していった方がいいだろう。

 森下 私たちの世代はネット投票に抵抗感はないので、ぜひ導入してもらいたい。ただ、秘密投票が守られるかどうか、気になる点も確かにあるなあ。

 岩岡 今回の授業で全ての人が満足する政策を立案する難しさを感じた。

 山崎 社会は人の営みで成り立っており、経済的に合理性があるような政策でも、人の気持ちや思いを大切にしないと実際の政策としては機能しない。さまざまな観点や思いを話し合いの中で丁寧に受け止め、少しでも社会がよくなる取り組みを見つけて前に進めていくことが政策立案では一番大切。

 ※山崎氏からは、高校生の質問に書面で回答を得ました。

笹岡一彦氏「AI導入、実現に可能性」

 岡本夏実さん、柳橋沙音さん(勝山高校1年生) 通学にバスを使いたいけど、便数が少なくて親に送迎してもらっている。電車や路線バスに人工知能(AI)を使った自動運転を導入することで、増便につなげられないかと考えました。

 笹岡 国内では運転手の人手が不足している。コストダウンにもつながるAI化の発想は素晴らしい。自動運転の交通システムには東京の「ゆりかもめ」などがあるが、高架で踏み切りがなく、実現には膨大なお金がかかる。そんな中、東京の山手線など普通の線路でも自動運転の実験が始まっている。安全面や法律面で課題は残るものの、実現の可能性はある。自動運転の列車に、恐竜の運転士が座っていたら面白いよね。

 山内沙恵さん(勝山高校1年生) 観光まで結びつける発想がなかった。そうやってアイデアを広げていくとワクワクしますね。

 高野天希さん(勝山高校1年生) 北陸新幹線が福井までつながるのはうれしいけど、今のJR(並行在来線)やえちぜん鉄道も充実させてほしい。

 笹岡 地域の公共交通は守るべきだ。財源として、都市部に負担を担ってもらう新税制「人源(じんげん)税」を提案したい。人材の源である地方に、いわばお金を返してもらう仕組みだ。

 岡本、柳橋 税金って、新しくつくれるんですね。知らなかった。議会に行ったことがないし、そこで何が行われているか分からない。すごく遠い世界。

 笹岡 各市町の議会の中には、授業の一環で児童生徒を招いているところがある。私が提案した「高校生県議会」は今も続いている。県の担当者に質問や提案をぶつけてもらう取り組みだ。県会議事堂の一番高いところに座っているのは誰だと思う?

 生徒一同 うーん、議長さんですか?

 笹岡 傍聴席の県民です。これは県民、つまり主権者が一番偉いということを示している。ぜひ一番高い席から、議員や知事の議論の様子を見てほしい。

 生徒一同 政治家の話って難しいと思っていたけど、身近な問題にも目を向けているんだと分かりました。

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