不動産投資塾「堀塾」の代表で、弁護士の堀鉄平氏に不動産投資について、前編では不動産投資を始めたきっかけや魅力、失敗談などを語っていただきました。後編では、実際にどのように不動産投資を始めればいいのか、資産100億円以上を達成した堀氏のマインドやスタンスについてお聞きします。
【前編】はこちら:資産100億円以上はいかにして達成したか。不動産投資家・堀鉄平が語る、株式投資との決定的な違い
堀鉄平(ほり・てっぺい)
日本の弁護士(第一東京弁護士会所属)。総合格闘家(2018年7月引退)。HORIJUKU株式会社代表取締役。
2014年頃より不動産に投資を始める。投資手法は、都心部の土地を購入して、自らRCのレジデンスを建築するというものであり、六本木、赤坂、南青山など都心の超一等地に新築RCを複数保有。投資総額100億円。売却益は30億円以上などの成功を収める。「堀塾 - 一人デベロッパー養成の不動産投資塾」「YouTube 堀塾ちゃんねる」「Twitter」「不動産投資DOJO-弁護士など専門家に無料相談可能」「GOHOBI -堀鉄平が厳選した高級ホテル&レストラン紹介サイト」
不動産投資初心者がやってはいけないこと
──堀さんの場合は、自身で土地を購入して建物を建てて売るデベロッパータイプの不動産投資をされていますが、そうじゃない不動産投資初心者が気をつけるべきことはありますか?
究極のことをいうと、一般的に不動産投資向けに出回っている物件を買うのはやめたほうがいいですね。土地と建物、そして銀行融資までがセットになっているパッケージ商品は多くの場合、儲かりません。儲かるのは業者だけです。
でも、いきなり土地を買って建物を建てるのはハードルが高いと思います。建物を建てるまでしなくても、少なくとも中古の物件で割安感のあるものを選んだほうがいいです。
──割安感がある物件とは具体的にはどんな物件でしょうか。
賃借人がなかなか決まらない、いわゆる客付けに苦戦している物件ですね。修繕費をかけてこなかったため、ボロが出てきてなかなか借り手がつかない物件などを買って、頑張って自分で修繕するか、業者に格安で修繕をお願いする。直すのは壁紙などの賃料に直結する部分だけを最低限にして、賃料を上げて貸し出す。そうすれば利益が出やすくなります。とにかく、新築の物件やリフォーム済みの物件、すでに満室になっている物件はダメですね。
\--初めての不動産投資だとそういうものを選びがちだと思います。
その考えが一番ダメですね。新築物件などを購入してしまっては、サラリーマンが不動産投資のために銀行から融資できる額は、すぐに上限に達してしまいます。その大事な融資枠でパッケージ商品を買ってしまったら、本当に儲けるための投資ができなくなります。購入して失敗したなと思って売ろうとしても、2割、3割は安くなることが多いです。それだと、原資がなくなるので、そこで投資は終わってしまいますよね。
ただし、タイミングがよければパッケージ商品でも儲かることはあります。
──タイミングというのは?
パッケージ商品が安いときですね。安いときに買っておけば高く売れますから。何事もタイミングは重要です。ただ、今(2022年5月現在)はそういう時期ではありません。吟味していかなければ損してしまいます。
不動産投資、何から始めればいい?
──では、不動産投資を始めようと思ったらまずは何をしたらいいんでしょうか。
まずは銀行開拓です。いい物件は足が早いです。なので、いい物件を見つけてから銀行へ融資の相談に行って審査に1カ月2カ月かかってしまうと、その間に別の業者に買われてしまいます。それを避けるためにも、あらかじめ銀行に「このくらいの物件がいくらで出てきたときは融資お願いできますよね?」というように、あらかじめ話を通しておく必要があります。実際にいい物件があったら、すぐに銀行に審査してもらうように、下準備をしておくことが重要です。
──堀さんは弁護士業などもやられていましたが、その中でも不動産投資を続けてる理由は?
今までは不動産業者しかやってこなかったことを、個人レベルでできるのはやはり楽しいですよ。出来上がった物件を購入するのが当たり前の世界で、自分が建てて売るんですから。それはもはやイノベーションです。
堀塾の塾生が270人くらいいて、私のYouTubeを見て個人で不動産投資をやられているひともいる。今では1,000人くらいの人がやっていると思います。
いま不動産投資のタイミングはよい?
──今は円安が進んでいたり、株式市場の落ち込みがあったりといった状況ですが、不動産投資をするタイミングとしてはどうなんでしょう?
今は、土地が高い、建築費が高い、都心は客付けに苦戦する三重苦の時期です。一方、売却するときは利回りが低くても売れる時期でもあります。円安なので、外国人からしたら安く買えますし、土地が高いのでゼロから建てるのにはお金がかかるので完成した物件を買う流れになっているので、バランスは取れている状態なんです。仕込みにお金がかかっても高く売れるので、あまりタイミングを気にせずに早く始めたほうがいいと思います。
──三重苦といわれると、始めにくいと感じるひとも多そうです。
与信枠は財産なんです。不動産投資をやらずに5年経ったら、その資産はそのままです。でも、自分の現金と与信を使ってレバレッジを効かせて今すぐ始めたら、5年分の家賃が手元に入ってくる。だから早い段階で始めたほうがいいんですよ。
──この状況の中で、堀さんが注目しているのはどんな物件なんですか?
注力しているのがホテルです。シェアタイプの別荘ですね。最近、鎌倉の海の目の前に土地を買いまして、そこに3階建ての物件を一棟建てる予定です。そこはいかに非日常感を出して、購入したひとがうれしいと感じてくれるような物件にしたいと思っています。ホテル専門のデザイナーを入れて、私もいろいろな建築を参考にして、この土地に一番合う建物を模索しています。
その建物は3階にプールを作る予定ですが、そのプールは建物から突き出させて、床を透明にしようかと思っています。135号線を走るクルマから見られたら恥ずかしいみたいな(笑)。そういうところにこだわれるのが楽しいですね。
なので、不動産投資は大量生産的に業者に丸投げして家を建てるような人は向いていないと思います。買ってくれた人、借りてくれた人がどうしたらハッピーになってくれるか。それを考えないと売れないんですよ。
究極は、僕が売りたくなくなるような物件を作るのが理想ですね。建てた結果「売りたくない」と思う物件を建てたいんですよ。
前編はこちら: