選挙ドットコムは7月10日に投開票が行われる参院選に関連して、YouTubeにて「各党キーパーソンとライブチャット」企画を実施しています。
7月5日に実施された第8回のキーパーソンは社民党・福島みずほ党首。MC鈴木とゲスト千葉佳織さん、選挙ドットコムTwitterの質問箱、そして生放送中のチャット欄から質問を福島氏にぶつけました!
気になる質問と回答の一部をこちらで公開いたします。
Q. キャッチフレーズ「どっこい社民党」はどのような経緯で誕生したのでしょうか?
社民党・福島みずほ党首(以下、福島氏):
「どっこい社民党」は服部幹事長が考えて、私が街頭演説で使うようになり、大椿副党首がインターネットなどで拡散してくれたんです。今では「どっこいどっこい社民党」とみんなで繰り返し唱えています。
「どっこい」という言葉はもともと歌舞伎で「そうはさせねえぞ」という意味があるそうです。なので、「憲法9条改悪させないぞ」「雇用や医療の制度を改悪させねえぞ」という意味を込めて楽しくやっています。
「どっこいうちわ」も友人がたくさん作ってくれて。政見放送でも大椿さんと一緒に「どっこいどっこい」しました。
Q. 街頭演説のまわり方はどうやって決めているんですか?
福島氏:
講演会の事務所と党本部で決定しています。私からも「こうしたい」という希望は伝えています。
東北は大宮、宇都宮、仙台、一関そして岩手と2日間かけて行きました。東京から鹿児島まで4日間かけてまわったのもハードスケジュールだったけど、東海道中膝栗毛みたいで3泊4日目一杯使って結構楽しかったです。しんどさもあったかな。でも楽しかったです。
Q. ここは政策として伝えたい!というポイントはありますか?
福島氏:
「頑固に平和」「暮らしが一番」「戦争はさせない」この3つを大切にしています。
とりわけ「頑固に平和」については消費税3年間ゼロ、企業の内部留保486兆円に課税という2つについて去年の衆院選から訴えています。それからやっぱり非正規雇用。4割にのぼる非正規雇用に歯止めをかけ、正社員化と最低賃金1,500円に取り組んでいきたい。もちろん脱原発もあります。新自由主義の「大企業が潤えばすべてうまくいく」「今だけ金だけ自分だけ」というところから社会民主主義に転換しようというのが特色だと思っています。
Q. 共産党との1番の違いは何ですか?
福島氏:
共産党は共産主義を目指していると思いますが、社民党が目指すのは社会民主主義です。目指している社会像が異なります。
例えば、オーストラリアでは労働党政権が気候変動問題を争点にして政権交代を果たしました。チリでは、30代半ばの若い大統領が「新自由主義発祥の地であるチリを新自由主義の墓場にする」と転換を発信し、いわゆる社会民主主義政権になりました。
資本主義の中でジェンダー平等や福祉、教育といったことを民主主義の力を使って決めていくというのが社会民主主義で、それは共産党との違いではないかと感じています。
実際の法案については立憲と近いときもあれば共産党と近いこともあります。共産党と政策の面では近いこともありますが、最終的に「社会をこういう風に作る」という点では違いがあるんだと思います。
Q. 「市民とともに政策を法案にまとめ、社会を変えていきたい」というお気持ちは今も変わりませんか?
福島氏:
変わりません。そのように言っていただけるのはありがたいですね。
1998年「市民の政策直行便」を掲げて立候補しました。それから2001年にDV防止法を超党派で作り、4回改正しました。それから児童虐待防止法や動物愛護法の改正法を作成など、非正規雇用議員連盟もそうですが、超党派でいろんな議員連盟をやっていて、そこで法案を作って成立させてきました。そこには「市民の政策直行便」という思いが活きていると感じています。
ただ、選択的夫婦別姓や同性婚など、まだ実現していないものもあり、それらについても早く法律を成立させたいですね。
Q. 多くの女性候補が立候補していることをどう思いますか?
福島氏:
国会の女性比率は低く、衆議院では1割にも満たないのが現状です。
特に政党の幹部は男性ばかりで9党党首討論になると女性は私だけなんですよね。こういう光景を本当に変えたい。だから女性候補者が増えることは本当に嬉しいです。実は「みずほ塾」という取り組みを行っていて、女性たちと一緒に勉強と実践をしながら地方自治体の議会や国政に女性議員を増やしたいと思っています。
それから、政治は社会をもっといいものに作り替えられる希望だと思います。女性が進出すれば政治の優先順位が変わる。DV防止法は全員女性で作りました。保育や育児、介護など一切やってこなかった人たちが政策を立案するよりも、関心のある人が作るのが一番いい。いろんなバックグラウンドを持つ人が意思決定の場にくることで政治の優先順位が変わるし、変えなきゃいけないと思っています。
Q.ブレない福島氏が政治家としてベースにあるものは?
福島氏:
人との信頼関係かな。
2010年5月28日、辺野古の新基地建設に関する閣議決定を私は拒否して大臣罷免になりました。なぜ拒否したかというと、やっぱり沖縄を裏切って平和や憲法を謳うことはできないから。もし署名したらきっと自分のことが大嫌いになって許せなくなって、大浦湾に身を投げていたかもしれない。自分のことを嫌いにならずに仕事をしたいというのはありますね。
あと、私には支えてくれる人や友人、一緒に取り組んでくれる人たちがいます。その人たちとの信頼関係や尊敬の気持ちがあるので、荒野の中を一人で進んでいるような感じではない。そういう人たちの存在が原動力なのかもしれませんね。
Q. 野党はひとまとまりになって二大政党制を目指すべき?
福島氏:
二大政党制は無理だと思っています。
アメリカは二大政党制ですが、どうしてもお互いが似てきてしまう。ヨーロッパの多党系の連立政権が実は一番力が出ると思っています。
ドイツがいい例ですが、経済では自立的な緑の党と、大きな政府論である社民党が組んでいい意味で緊張関係を保っている。さらに、この組み合わせで脱原発も推進しているんですよね。このことからも、二大政党制というよりは多党制でお互い連立を組みながら補い合って政治を進めていくのが良いと感じます。というのも、社会が多様な価値観をもっているのでそれを体現していくことも必要だと思うんです。
日本の国会では社民党が立憲民主党と共同会派を組んだり、地域では共産とも立憲とも連携して野党共闘の要として作用している面もあります。社民党としては、他の政党と歴然と番うところがあるので無理やり一緒にするよりは共同会派や共闘態勢で十分やっていけると感じています。
Q.社民党の立候補者について教えてください。
福島氏:
社民党は選挙区に4名、全国比例に8名出ています。8名の内訳はは男女半々。
大椿さんは解雇された非正規雇用者で、非正規雇用のことを中心に取り組んでいます。秋葉さんは前広島市長で、核兵器のことをもっと政治が取り組むべきと訴えています。宮城さんは沖縄の平和を謳い、久保さんは東北岩手から復興と脱原発に取り組んでいます。また、今回は新社会党から岡崎さんが合流しています。岡崎さんは40代でシングルでも生きられる社会の実現に取り組んでいます。それから元衆議院議員の山口さんと、30歳で被選挙権を得たばかりの村田さんがLGBTPとして立候補しています。
社民党の候補者は30代から80代まで幅広く、それぞれ違うけれど社民党の特色を表している8名の「チーム社民党」です。
Q. 選挙終盤に向けて秘策はありますか?
福島氏:
今回の参院選は、日本国憲法、社民党、そして私自身にとって崖っぷちの正念場です。全国比例で120万票とれないと政党要件を失ってしまうし、1人も当選できません。全国比例は魅力的な候補が8人もいます。党首としては1人は必ず、できれば2人3人当選させたいと思っています。
大きなテーマは憲法9条。憲法9条を変えてしまうのか、戦争のできる国になってしまうのか、防衛費11兆円の世界3位の軍事大国になるのかどうかが、かかっています。
これからの選挙戦については「やっぱり社民党が必要だ」というオールドファンにもう一度働きかけることが必要です。もう1つは、今回若い人、特に女性にものすごく声をかけられるようになりました。彼女たちは選択的夫婦別姓、同性婚、動物愛護、香害、非正規雇用、憲法9条、リプロダクティブヘルス&ライツなどについて意見を言ったり、質問したりしてくれます。だから、終盤戦は社民党にいままで投票しなかった若い人、若い女性たちにもっともっと浸透していくよう取り組んでいきたいです。
Q. 社民党ならではのポイントはありますか?
福島氏:
社民党はLGBTQの課題や同性婚、選択的夫婦別姓の問題に長年に渡って取り組んできました。
生理・避妊・妊娠・中絶・出産にまつわるリプロダクティブヘルス&ライツに関しても同様です。中絶薬の入手方法など細かいことだけど若い人にとっては非常に重要なこと。そういうことも含めてもっと政治をアップデートして住みやすい社会にしていきたいと考えています。
包括的差別禁止法、そして人権救済機関を作りあらゆる差別をなくしたいというのも社民党ならではの取り組みではないでしょうか。
Q. 視聴者にメッセージをお願いします!
福島氏:
新自由主義で「大企業が潤えばすべてうまくいく」と進んできた結果、雇用も医療も様々なものが壊れてしまいました。あなたの悩みや苦しみは「今だけ金だけ自分だけ」という政治の結果です。だからその原因を取り除くために政策を変えましょう。
今回の参院選では憲法改正、つまり日本が平和国家としていられるのか、それとも軍事大国になるのかが問われています。あなたの一票が日本の未来を決めます。でも政治は希望です。「あなたの一票で未来を作っていきましょう」と伝えたいです。
今のような時代だからこそ、社会民主主義で「頑固に平和」「憲法9条を変えさせない」「戦争させない」という考えを持つ社民党の存在意義はものすごくあると思います。社民党のように原発ができたときからずっと脱原発を主張してきた政党はありません。いかなる国の核兵器にも反対と唱えてきたのは社民党です。
憲法9条がかえられるかもしれない国会に、社民党は存在したい。存在しなくちゃいけないと思います。福島みずほも頑張り続けたいと思います!
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第10回の「各党キーパーソンとライブチャット」は、7月6日(水)21時から立憲民主党・後藤祐一役員室長を招いて実施いたします。
第11回の「各党キーパーソンとライブチャット」は、7月6日(水)21時45分から幸福実現党党・釈量子党首を招いて実施いたします。