参院選まで5日「ますます目が離せない京都、東京選挙区」時事通信社の山田解説委員

参院選の投開票まで1週間を切った。野党共闘も進まず、与党圧勝の声も聞こえてくる。「どうせ変わらない」との気持ちが社会にはびこると、投票率は下がり、ますます与党が盤石になる。注目の選挙区について、時事通信社解説委員の山田惠資さんに聞いた。(新聞うずみ火 矢野宏)

まず、1人区の注目選挙区はどこか。

「立民現職がいる長野には維新が、国民現職がいる山形と大分には共産がそれぞれ候補者を擁立。野党票の分散が予想されます。また、香川は自民現職に対し、立民の小川淳也政調会長と国民の玉木雄一郎代表の『代理戦争』で立民、国民が激突。そこに維新、共産が競合する野党乱立となりそうです」

複数人区の定数は2、3、4、6人区の4種類。定数ごとに各党の議席獲得には異なる傾向が出るという。

「2人区は自民と旧民主党系が1議席ずつ分け合うケースがほとんどですが、京都はそこに維新が割り込んできた。しかも、国民は維新との連携を選択した。京都は共産が強いので、共産が手を引くことは考えられない。立民の幹事長を務めた福山哲郎氏が敗れることになれば党にとってかなりのダメージになります」

維新は、京都を最重点選挙区と位置づけている。大阪以外に兵庫では知事選を制し、昨年の衆院選では比例復活を含め擁立した9人全員の当選を果たしたが、これまで京都では成果を出せなかった。だが、衆院選で1人が比例復活し、4月10日投開票だった府議会の補欠選挙では自民、立民、共産との闘いを制している。

維新の松井一郎代表が6月4日、京都市内で街頭演説した際、維新新人を推薦する国民の前原誠司代表代行も駆け付け、協力関係を見せつけた。「憲法を活かす京都郵政労働者の会」代表の田中修さんは「背景に前原氏と福山氏の確執がある」と指摘する。

「福山氏は民主党時代、前原グループに所属していましたが、17年の衆院選の『希望の党騒動』で、枝野氏と立民を旗揚げ。前回の参院選では、前原氏が譲る形で立民候補に一本化されましたが、落選。前原氏は『福山氏を応援する義理はない』とまで言っています。前原氏の地盤の一つである山科区では福山氏のポスターがほとんど見られないということです。左京区、東山区でもそうなのかもしれません」

3人区は自民と旧民主党系で分け合い、3議席目を与野党のどちらが押さえるかが焦点となる。だが、兵庫は維新が入り、旧民主党系を弾き飛ばした。今回も自民、公明、維新の3人の現職を、12年ぶりの議席奪取に挑む立民新人ら10人が追う展開だという。

また、4人区では、自民と旧民主党系、公明が議席を獲得するケースが多いが、大阪だけは例外だ。維新が直近2回の参院選で2議席を確保している。

激戦の大阪選挙区=6月30日、堺市堺区

共倒れもささやかれた16年の参院選。4人目に滑り込んだ維新候補の獲得票数が約66万票だったのに対し、5位の共産候補は約45万票、6位の民進候補は約34万票だった。前回も最下位当選が約55万票で、「5位の共産候補(約38万票)と6位の立民候補(約35万票)を合わせれば改憲勢力を落とせた」との声も聞かれた。今回もその二の舞となるのか。

東京選挙区は6人区。自民と立民がそれぞれ2人を擁立し、他の主要政党も軒並み候補者を立てた。山田さんはこう予想する。「自民2人、立民1人、公明と共産が1人ずつ。6人目をれいわ、維新、都民ファーストなどが争う展開のようです。小池知事の動向が注目されるところです」

「得票率2%」などのハードルを越えられなければ、公職選挙法上の政党要件を失う社民は服部良一幹事長を擁立。背水の陣で臨む。

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