女性死亡…猛スピード飲酒女がはねる 無職、無車検、無保険で賠償できず 弁護士「回避行動はしていた」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県飯能市の県道で2018年10月、無車検、無保険の乗用車を酒気帯び状態かつ法定速度を96キロ超える時速約136キロで運転し、女性をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)や道路運送車両法違反などの罪に問われた、無職内田圭子被告(48)の裁判員裁判の論告求刑公判が7日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。検察側は「危険かつ無謀で、悪質性は極めて高い」などとして懲役10年を求刑。弁護側は懲役6年を上限とする刑を求めて結審した。判決は12日。

 検察側は論告で、法定速度の3倍を超える高速度に加え酒を飲んでいて制御や正常な判断は困難だったとした上で「安全性の検査がされず、被害弁償のできない車を運転した無責任な行為だ」と指摘。路側帯付近を散歩していた女性に全く落ち度はなく、突然命を奪われた女性の肉体的、精神的苦痛は極めて大きいとして「被害結果は甚大で取り返しがつかない」と断じた。

 一方の弁護側は、車両のハンドル操作やブレーキ操作のデータから「一連の回避行動は取っている」と主張した。

 起訴状などによると、内田被告は18年10月2日午前9時40分ごろ、飯能市の県道を酒を飲み、無車検、無保険の車を法定速度の3倍以上の時速約136キロで運転。カーブを曲がり切れずに道路の路側帯付近にいた大沢恵理子さん=当時(50)=をはね飛ばし、前方の電柱に衝突させるなどして死亡させたとされる。

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