「身を切る改革」に疑問符?維新の候補者二人が政治資金規正法で刑事告発されていた  「悪質」と専門家が指摘

昨年の衆議院選挙で日本維新の会公認候補として立候補した手塚大輔氏と西村恵美氏が、ともに「日本維新の会」から寄付を受領したにも関わらず、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載していなかったとして、政治資金規正法違反の疑いで刑事告発をされていたことが9日までに分かった。昨年の選挙では、手塚氏、西村氏ともに落選している。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)

手塚氏及び西村氏を刑事告発したのは、神戸学院大学の上脇博之教授。

手塚大輔(本人のツイッターから)

〇不記載が常態化している「日本維新の会長野県総支部」

告発状によると、手塚氏が代表を務める「日本維新の会長野県総支部」(以下、「長野支部))は「日本維新の会」から2017年から「党費還付」などの名目でお金を受け取っていたにも関わらず、「長野支部」にはその一部を記載せず報告をしていた。その額は、17年が22万1000円、18年が42万4000円、19年が29万7000円、20年が33万円で、4年間の合計で127万2000円になる。

本来受け取った額を記載していれば、翌年への繰越金も変わってくるため寄付金の不記載だけでなく、繰越金の虚偽記載も指摘されている。

手塚大輔は、昨年の衆議院選挙で長野2区から日本維新の会公認で立候補し落選している。

21年の総選挙に日本維新の会公認候補として立候補した西村恵美氏(本人のツイッターより)

〇160万円を超える寄付金に気づかなかった?

告発状によると、「西村えみ後援会」は2018年2月26日に「日本維新の会」から161万1776円の寄付金を受領したにもかかわらず、「西村えみ後援会」の収支報告書に記載していなかった。

手塚氏と同様に、寄付金の受領を記載していないことで翌年の繰越金の額が変わってくるため、2018年以降の収支報告書の繰越金も虚偽記載となることが指摘されている。

政治資金規正法で会計帳簿の保存を義務付けており、通帳の残高と収支報告書の繰越残高を合わせておけば起きないミスである。

西村恵美氏は昨年の総選挙に日本維新の会公認候補として東京14区から立候補し落選している。

刑事告発された日本維新の会の西村恵美氏

告発をした上脇教授は次のように指摘している。

「長野支部の場合は、何故か『党費還付』収入だけが毎年不記載になっていました。おそらく毎年裏金として支出してしまったので、収入も記載しなかったのではないかでしょうか。金額は高額ではありませんが、裏金支出の疑いが毎年あるので、今後も『党費還付』収入とその支出の不記載が続くのではないかとも思って、あえて刑事告発しました。

西村えみ後援会の代表は、西村恵美ではありません。ところが、2018年に161万円余りの寄附金を受領したとき、後援会が『日本維新の会』に発行した領収書には代表者は西村恵美と手書きされていました。西村恵美が裏金として支出したので、収入も記載しなかったのでしょう。これも悪質なので刑事告発しました。」

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