厚木の高齢化地域に診療所誘致 市の補助制度使い11月開院 医療施設2年以上なく住民要望

厚木市の宮の里地区に診療所を開設する三思会の野村直樹理事長(左)と小林常良市長=市役所

 路線バスが市内の重要な公共交通となっている神奈川県厚木市は、主要路線沿いで不足しているスーパーマーケットや診療所などを誘致するための補助事業を昨年度から進めている。第1号として同市宮の里に社会医療法人社団三思会(同市船子、野村直樹理事長)による診療所の開設が決まり、市が6月29日、同法人に交付決定の通知書を渡した。

 同法人の診療所「とうめい宮の里クリニック」(同市宮の里1丁目)は11月に開院予定。内科、外科、整形外科があり、内科は週4回、外科と整形外科は週1~2回診療する。

 市都市計画課などによると、宮の里地区は宮ケ瀬ダム建設で水没する地区の住民を受け入れる住宅地として開発された。当初、同法人の施設として地区内に診療所が設けられ、その後は独立運営となって約30年間、診療を続けた。だが、院長が高齢になり2020年3月に閉院した。

 同地区は人口約2千人で高齢化率は41.69%と市内平均より高く、地区内に他の医療施設がないため、住民から診療所再開の要望が出ていた。市の打診を受け、現在も旧診療所の土地・建物を所有する同法人が診療所の再開を決めた。

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