主要材料は日本が世界シェア30%!太陽光発電に注目が集まる背景とは

東京都心は6月25日(土)から9日間、連続して猛暑日が続きました。これは1875年の統計開始以降、猛暑日の連続記録を更新し、最長記録になりました。高温のみならず、湿度も高く、体にこたえる暑さでした。

7月4日(月)以降は幾分暑さが和らぎましたが、今後も30℃を超える予想が続いており、電力需給逼迫注意報への警戒が高まります。そうした中で、いま太陽光に注目が集まっています。


先行する東京都の取り組み

東京都は今年5月24日(火)に、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける方針を固めました。都はパブリックコメント(意見公募)などを経て、年度内にも関連条例を改正する予定です。

新制度は特に大規模建築物に対し原則設置を義務化するもので、都の環境審議会で議論されています。これは東京都が2030年に温室効果ガス排出量を2000年比で半分、50年には実質ゼロにする目標を掲げていて、その取り組みへの対応策と思われます。川崎市も都の制度案などを参考に戸建て住宅を含めた太陽光パネルの設置義務化を検討しており、月内にも方針を示すとしています。

また、東京都では太陽光発電・家庭用蓄電池の補助金の受付が6月22日(水)から開始されました。尚、電子での申請は7月下旬の予定となっています。補助金の内容は、太陽光発電の新築住宅と既存住宅で金額が変わります。例えば、新築住宅は1kWあたり12万円で、最大36万円を受けることができます。既存住宅は1kWあたり15万円で、最大45万円を受けることができます。

ただし、条件として、蓄電池や断熱改修、エコキュートなどとセットで購入した場合に限るとしています。東京都の東京電力管内での太陽光発電は連日、昼ごろには1300万kW程度の出力があります。これは大型の火力発電所13基分にも相当するかなり大きな出力量ですが、太陽光の出力は昼がピークであり、夕方には5分の1程度にまで落ちているのが現状です。政府が電力需給逼迫注意報を発出した際も、太陽光の出力が落ちる夕方15時~18時の時間帯に節電を促しました。

政府も2兆円の支援で後押し

政府は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒ししており、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組を大幅に加速することが必要でした。

そこで各企業の挑戦を後押しすべく、2兆円の「グリーンイノベーション基金」をNEDO (新エネルギー・産業技術総合開発機構)に創設しました。NEDOは官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援します。

NEDOはその2兆円の予算から約498億円分を新型の太陽電池「ペロブスカイト型」の開発支援に充てる事を発表しています。新型の太陽電池「ペロブスカイト型」の特徴は、既存の太陽電池に比べ製造工程が少なく、プラステックなどの基板の利用が容易で、軽量かつ柔軟性に特化している事です。また、主要な材料であるヨウ素の生産量は、日本が世界シェア30%を占めています。

富士経済がまとめた、新型・次世代太陽電池の世界市場と開発動向の調査によると、2035年の世界市場は、21年比22.6倍の8,300億円になる見通しで、既存の太陽電池との併用や代替による「ペロブスカイト型」の太陽電池が伸長し、大幅に拡大する予測が公表されました。


但し、太陽光発電にもいくつかの問題点があります。経産省は使用済みの太陽光パネルの廃棄量が2035年から2037年にピークを迎え、産業廃棄物の最終処分量の1.7~2.7%に相当するとの見通しを明らかにしました。廃棄物の取り扱いは今後の大きな課題です。

また、天候によって発電量が影響を受けたり、太陽光発電システムを製造するときに二酸化炭素を排出する事や、住宅価格の上昇につながりかねないと懸念する声もあります。

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