コロナ対策、基地、子育てや経済活性化…「寄り添う政治を」 参院選に沖縄の有権者が託した思い

 経済振興や米軍基地の負担軽減策、子育てなど多岐にわたる論戦が展開された参院選は10日、投票日を迎え、県内の有権者はそれぞれの思いを込めて一票を投じた。コロナ禍で多くの課題が表出する中、有権者は当選者に対し、沖縄に寄り添った国の運営を要望した。

 那覇市の繁多川公民館を運営するNPO法人「1万人井戸端会議」の南信乃介代表理事(40)は「コロナ禍で気付いた課題を力に変えるような沖縄振興を議論してほしい」と話した。安全保障について「軍事費を増やすのではなく、沖縄がどういう立ち位置で世界平和に貢献できるのかを考え、全国に発信してほしい」と求めた。

 中城村の女性(48)=公務員=は「和を広げるために貿易などをしていた沖縄の歴史を誇りに思っている。それを子どもたちが学べる環境づくりをしてほしい」と強調する。久米島出身の夫(59)=公務員=も「ゆいまーるの心を大事にして、沖縄に寄り添った政治をしてほしい」と語った。

 名護市の男性(32)は「弱者の声を拾うのが政治家の仕事だ。経済格差で生まれる教育格差をなくし、みんなが幸せになる道を模索してほしい」と述べた。

 宮古島市の男性会社員(38)は「なによりも経済活性化に取り組んでほしい」と願った。コロナ禍以前と比べ「島の雰囲気は下がったまま」と感じる。県内の感染者数は再び増加傾向にあり「感染防止と経済活性化の両立は難しいかもしれないが、県民の代表として知恵を絞ってほしい」と話した。

 石垣市で投票を済ませた女性会社員(47)は「当選者には市民の声を聞いてほしい」と語った。ほぼ上がらない賃金に加え物価高の影響もあり、生活は楽ではない。ここ数年の選挙で政治が変わった印象はなく、「政治への期待は下がっている」と話す。それでも「市民の不満を受け止めてほしい」と願い、一票を投じた。

 (稲福政俊まとめ)

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