累計30万羽以上 平和願い「できること続ける」 五島の藤原さん、高校生大使へ千羽鶴

平和への願いを込めて千羽鶴を完成させた藤原さん=五島市玉之浦町

 高校生平和大使に20年以上、千羽鶴を託している長崎県五島市玉之浦町の藤原良子さん(84)が、今年も千羽鶴を完成させた。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、平和への願いをさらに強く一羽一羽に込め、約1万7千羽を折った。
 藤原さんは、長崎市の友人の孫が高校生平和大使になったのを機に千羽鶴を折り始めた。2000年から毎年、スイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れる同大使に託している。累計で30万羽以上となり、09年には秋月平和賞を受賞した。
 2月、ウクライナにロシアが軍事侵攻し、プーチン大統領は核使用をちらつかせた。藤原さんは母と姉が被爆者。連日の報道に心を痛め、むなしさを感じたという。それでも「自分ができることを続けよう」と、4センチ四方の10色の色紙を丁寧に折り続けた。
 6月に核兵器禁止条約第1回締約国会議があったオーストリア・ウィーン。藤原さんは、現地に派遣された平和大使の神浦はるさんに今年折った5千羽を持っていってもらった。海外の参加者らとの交流で披露し、好評だったという。
 残り1万2千羽は今月、高校生平和大使派遣委員会に宅配便で送る。
 平和大使は今年25周年。藤原さんは、スローガンの「微力だけど無力じゃない」を引き合いに「今年は特にこの言葉の意味を実感している。私がやっているのは米粒ぐらい小さいかもしれないが、平和への願いを届けたい」と話した。

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