ウクライナからの学生

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めて4カ月が過ぎた。いまだ激しい戦闘が続き、戦争が終わる気配はない。戦火を逃れウクライナから国外へ避難した人は800万人を超えるといわれている▲何かできることはないか。遠く離れた日本でもさまざまな支援活動が行われている。佐世保市の長崎国際大は、避難した学生の受け入れを決め、先月、17歳と18歳の若者2人がやってきた▲2人とも戦地となっている東部の出身で、親戚や友人は地下で生活するなど厳しい状況にさらされているという。長崎空港に降り立った2人は、記者会見で、日本での生活に早く慣れたいと希望に胸を膨らませていた▲しかし、家族のことを質問されると「情報を出すのは危ない」と明言しなかった。ウクライナの人たちが置かれているシビアな現実を垣間見た思いがした▲2人の身元引受人となった支援者は、侵攻が長期化し、報道の数が減っていることを懸念し、「ウクライナに関心を持ち続けてほしい」と訴えた▲母国をはじめ欧州での進学を考えていたという2人は、日本に来ることになるとは侵攻が始まるまで想像もしていなかっただろう。「いつか故郷に帰りたい」と願っている若者を支援し、学習の機会を与えることは、いつの日かウクライナ復興の助けになる。そう信じる。(豊)

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