4月の成人年齢引き下げから初めての国政選挙となった今回の参院選に、福井県内の若者たちはどう向き合ったのか。「自分の存在を示す」「訴えを理解しないまま投票するのは無責任」。1票を行使した人、しなかった人、それぞれの声を聞いた。
初めて投票したという福井県立大学1年の木下晴賀さん(18)と伊藤心音さん(18)は「せっかく手にした権利だから興味があった」。ただ、政治には堅苦しくて遠いイメージがあり、家族が支援する候補者や政党に1票を投じた。「正直、自分の1票で何か変わるのかなという思いはある」と口をそろえた。
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実家に住民票を残して県外に進学し棄権する学生が多い中、京都市の大学に今春入学した後藤謙志さん(19)は福井市に帰省して投票した。「高校の恩師の『投票しないのは意見を言わないのと同じ』という言葉を覚えていた。自分の存在を示す意味でも投票した」
米国の大学に通う坂井市出身の男子学生(19)は、夏休みで一時帰国中だったが棄権した。普段の情報源はインターネットがほとんどで、「紙で投票する選挙にはわざわざ足を運びたくない。スマートフォンで投票できれば考えたい」。
福井県立大学1年の女子学生(18)=坂井市=は「選挙に関心はあるけど、政党や候補者の訴えに理解度が低いまま投票するのは無責任かも」と迷った末に投票しなかった。「ネットでは、どんな意見にも肯定と否定の両方の情報が飛び交っていて、どの選択肢にも不安を感じる」。幼いときからスマホが身近な世代ならではの悩みを明かした。
現在打ち込んでいるボランティア活動が忙しくて投票しなかったという福井大学の男子大学院生(22)は、「ボランティアで自分が求められている充実感を優先した。社会で自分の役割を実感できるようになったら、課題意識を持って投票に行くかもしれない」と語った。