「仮想スーパー」で高齢者の買い物支援へ 雲仙で試行 長崎大ゼミなど共同開発

スクリーン越しに販売員から商品の説明を受けるサロン参加者=雲仙市千々石町、同市社協本部

 自治体と連携して地域活性化を研究している長崎大経済学部の西村宣彦教授のゼミは、雲仙市のスーパーなどと共同で、高齢者など買い物弱者が食料品などをオンライン購入できる「仮想スーパー」のシステム開発を進めている。11日、同市千々石町の同市社会福祉協議会本部でシステムを試行し、高齢者たちが買い物を楽しんだ。
 西村教授のゼミが昨年度から取り組む事業で、同市のスーパー「フーズピープル千々石店」、同市社協、西彼時津町のシステム開発会社「フリーライン」が協力している。
 仮想スーパーは、同市社協が公民館などで開く高齢者サロン参加者向けのサービス。フーズピープル千々石店の生鮮品販売員が売り場からオンライン中継で商品を紹介し、高齢者がサロンでスクリーン越しに会話しながら注文する「ライブコマース」方式で、購入した商品はサロンに届く。
 11日、同社協本部でのサロンに集まった70~90代の5人が買い物客になり、ゼミ生5人が仮想スーパーの仕組みを説明した。同店では、精肉の販売員が牛肉などのパック商品を手に取り、肉質やお薦めの調理方法などを紹介。買い物客は価格やグラム数を尋ねながら品定めした。サロンに用意されたカタログを見て洗剤や調味料も選んだ。商品は同社協スタッフが届けた。

サロン参加者にライブコマースの仕組みを説明する長崎大ゼミ生(左)=雲仙市千々石町、同市社協本部

 本格運用に向けて、注文確認や商品配達を担う「お助け隊」(仮称)への報酬確保などの課題が残っており、今後も試行を続けながらシステムを確立する。
 買い物した同町の独り暮らしの女性(77)は「サロンのみんなで会話しながら楽しめた。商品を運んでもらえるのも助かる」。ゼミ生の松尾咲里奈さん(20)=同大経済学部3年=は「利用者の反応は良かったと思う。音声が聞き取りづらかったり、段取りが悪い部分もあったので、ゼミに持ち帰って改善策を考えたい」と手応えを話した。


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