始めるためのハードルはどっちが高い? ETFと投資信託の2つの違い

NISAやiDeCoなどで使われることが多い投資信託。それと似たような仕組みでETFがあります。このETF(上場投資信託)はどんなものなのか。投資信託との違いはどこにあるのかを確認します。

先に違いを書きますが「ETFは投資信託が上場したもの」です。この表現で理解できるひとは以下を読む必要はありません。


まずは投資信託の仕組みを理解する

ETFと投資信託は似ていますが、そもそも投資信託を理解しないとETFとの違いがよくわかりません。

投資信託とは、多くの投資家から少額ずつ集めて1つのまとまった財布を作り、そこから株式や債券などへ投資をする金融商品です。利益が出たらその分の投資金額が増え、損失が出たらその分だけ投資資金が減ります。

投資先はどういったところか

これは投資信託もETFも同じ考え方です。

それぞれ投資信託やETFが何を対象として作られているかによって投資先が異なります。たとえば、株式だけに投資している商品もあれば、債券だけに投資しているものもあります。

さらに株式や債券といっても日本だけやアメリカだけ、または世界中など地域による分け方もあれば、業種ごとに分けるものもあります。

実際に目の前の投資信託やETFがどこに投資しているかは、商品の説明書きである目論見書などにて確認することができます。

投資信託購入のおおまかな流れ

ETFの中身は投資信託だとすると、その違いはほとんどないように感じられるかもしれません。しかし、商品が異なるので当然違いがあります。

その1つは流動性です。

流動性の違いを理解するためには投資信託の購入にかかる時間軸を知っておく必要があります。通常、投資信託を購入しようと購入ボタンを押したとして、その投資信託が証券口座に反映されるまでに3~4営業日ほどかかります。

そして買い付けをする値段についても、購入ボタンを押したタイミングでは、その投資信託の値段がいくらなのかわかりません。つまり、投資信託を購入するときは、ボタンを押した翌日や翌々日の営業日に初めて自分がいくらで何口購入したのかが判明します。

これは売却時も同じです。

つまり、投資信託はその場で売買ができないため流動性の観点から考えると多少時間がかかります。しかし、不動産などに比べれば流動性は非常に高いものであり、現金化までには数日であるため、一般的にそこまで気にするひとは少ないでしょう。

ETF購入のおおまかな流れ

流動性の観点から投資信託と比べていますので、お気づきの通りETFの流動性は非常に高いです。

その理由として証券市場に上場して売買されているため、基本的にはリアルタイムで取引が行われます。これは上場株式の取引と同じであるため、投資信託に比べて今の値段がわかりやすくなります。

流動性以外の異なるポイント

異なる点で外せないこととして信託報酬などの経費や手数料の違いがあります。一般的にETFのほうが投資信託よりも信託報酬が安い傾向にあります。

信託報酬が低いからETFのほうがいいのかというと別の経費を考慮する必要があります。

それは売買手数料です。

先述した通りETFとは市場に上場しているため、株式の購入と同じように売買で手数料がかかることが一般的です。

もちろん投資信託でも手数料がかかることはありますが、最近の投資信託は購入手数料がかからないノーロードファンドと呼ばれるタイプが主流です。一部の独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)や窓口経由での購入をのぞいて、ネットで注文を出すときは購入時に手数料がかかることは、ほとんど無くなってきました。

つまりランニングでかかる信託報酬はETFが安い傾向にあるが、売買の時に別途手数料がかかることがあるので、その点を含めて経費を考える必要があります。

これは投資金額や期間によって変わってくるので、この部分だけでどちらが有利不利と決めることは難しいです。

主流となっているのは海外ETF

まずはETFが何かを知ってもらうためにその説明をしてきました。では実際に世の中で購入されているETFの話をします。

結論、日本の多くで購入されているETFは海外ETFと呼ばれる、海外の取引所(主にアメリカ)に上場しているものです。

日本にもETFは存在していますが、まだまだ伸びている最中の分野で、商品数や内容などこれから競争が発生するでしょう。一方でアメリカのETFはその競争がすでに起こっており、多くの資金を集めているETFも数多く存在します。海外ETFは日本の証券会社を通じて購入することもできます。

海外ETFの魅力と注意点

魅力としては、やはりその商品ラインナップです。自身の投資方針にあったETFが見つかる可能性が高いです。

投資方針と書くと難しいかもしれませんが、簡単に考えると長期保有でゆっくり成長を見込む、または年齢も上がってきたので高配当が出ているなど、そのような感覚で探すだけでもある程度商品を絞ることができます。投資方針は、自身のライフプランと合わせることが重要です。

注意点としては、海外のためライムラグが生じることもあり、為替が関係して思った以上に高値になることもあり得ます(もちろん思った以上に安値になることもあります)。また、最初に円をドルに換えるため、為替手数料が発生することもあります。

その他にも購入時の手数料が比較的高くなることもあるので、その辺りは事前に確認することをおススメします。

ETFも積立投資は可能か

現役世代の資産形成は積み立てが基本になります。そのため投資信託を購入されている多くのひとが積立設定をされています。では、同じようにETFも積み立てできるのか。これは証券会社によって対応が異なります。

最近はETFも積立設定できる証券会社が増えてきていますが、全部の証券会社で対応しているわけではありません。ここは自身が開設している証券会社に確認してください。積立ができない場合は、株式と同じようにその銘柄ごとの最低金額での取引になるため、資金面でスタートするハードルが上がります。

ETFと投資信託に対するイメージ

ETFと投資信託は似ています。スタートのしやすさなどを考えると、投資信託は身近な存在です。

一方で、ETFは経費や流動性のアドバンテージがあるものの、始めるためのハードルは投資信託よりも多少高い印象です。

しかし、スタート時のハードルは一度超えてしまえば慣れてしまうため、最初の一歩を踏み出したらあとは気にならないことでしょう。そうであるならば、投資信託と比べて手数料部分でメリットがあると感じられるひとは一見の価値はあるかもしれません。

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