阿部サダヲ「空白を満たしなさい」での不気味な男役が話題。「“この人が出てくると面倒だぞ”という感じの人でありたい」

NHK総合の連続ドラマ「空白を満たしなさい」(土曜午後10:00)で、主人公・土屋徹生(柄本佑)につきまとっていた佐伯役を務める、阿部サダヲが、役柄や作品の見どころについて語った。

本作は、芥川賞作家である平野啓一郎氏が、東日本大震災直後に発表した同名小説を原作にしたヒューマンサスペンス。「もしも亡くしたはずの大切な人にもう一度会えたら」という着想から執筆され、今またパンデミックを経て一層心に響く作品だ。ある日突然、身に覚えのない己の死から復活した徹生。会社の屋上から転落したというが、全く思い出せない。最愛の妻と幼い息子を残して、なぜ自分は死なねばならなかったのか? 徹生はその答えを追い求めていく。徹生の妻・千佳役を鈴木杏が担っている。

放送開始から、設定こそSFでありながら、実力派キャストのリアルな演技の応酬で「いっときも目が離せない」「先が全く読めない」と話題になり、中でも謎の鍵を握る不気味な男・佐伯を演じる阿部の怪演は大きな評判を呼んでいる。本日7月16日放送・第3話では、いよいよ主人公と佐伯が再会するとともに、死の真相が明らになる。

佐伯について「怖いですよね…。こういう役はなかなかやったことがなかったので、演じていて面白いです」という阿部は、「たぶん佐伯は寝ていない人だと思います。ものすごくいろんなことを考えている人で、実は優秀で才能もあると思うんです。すごく徹生のことを調べ上げていますからね。たぶん千佳さんのことも少し調べているはずです。できる人だと思いますが、世間的にはうまくいってないっていう、その悲しさがこういう風体になっているのだと思います。それにいろんなところに忍び込んでいく。ここにもいる、ここにもいるってね。どうやって忍び込んだのだうろうって思わせるようなことがありますからね。不思議ですよね」と解釈を語る。

続けて「来てほしくないな、現れてほしくないなっていう人物でいたい気がしています。“この人が出てくると面倒だぞ”という感じの人でありたいですね。最初は、何か特徴づけとか、こういう風貌なので息苦しくしたいとか、考えていましたが、必要ないと思えてきて。普通でいた方がいいと思い、演じていました」と役作りについて明かす。

演じる上では「毎回セリフが長いっていうのは面白い」そうで、「1話の車の中のシーンは佐伯にとって肝だったので、やっていてすごく面白かったですね。佑くんとも長いシーンを共演することが今までなかったから、うれしかったです。嫌なことを言うシーンだと、2話のファミリーレストランで千佳に徹生のことを話すシーンがあったのですが、その時に千佳が連れていた赤ちゃんの璃久くんの芝居がよかったです。なんだ?って顔して僕のことをにらんだのですが、すごくいい顔をしているので、見ていただきたいです。何かを感じるんですかね。この人、敵だって」と印象に残っているシーンを挙げた。

そして、「徹生がなぜ生き返ったのか、なぜ死んだのか、佐伯は一体何者なのか、そういうところをいろいろ考えながら見ていただくと面白いと思います。毎週たぶん後半の方に佐伯が現れるのですが、どうなるのだろう。佐伯が出てきて、次どうなるのだろう、と思えることが起きてくるので、楽しいと思います。ドラマも後半になってくると、千佳という人がどういう生い立ちだったのかがどんどん出てくるのも面白いです。僕も見ていて、あらっ、どうなってしまうのだろうと思いました。3話で佐伯という人が分かってくるので、そこまでどうなるか我慢していただいて。最初は嫌な感じかもしれませんけどね。佐伯は悲しみでどんどん大きくなっていきますからね。おなかもお尻も。結構細かいところなのですが」と見どころを伝えた。

© 株式会社東京ニュース通信社