fox capture plan×谷口慶介(Playwright レーベルディレクター)- インストシーンの最重要レーベル"Playwright"の10周年記念パーティー2Daysが新宿LOFTで開催!

ここまでレーベルが続くとは、バンドが増えるとは思わなかった

──まずは10周年おめでとうございます。

一同:ありがとうございます。

──いろんな所で聞かれるとは思うんですけど、レーベルを始めたきっかけをまずお伺いできたら。

谷口:僕はディスクユニオンの制作部で2002年ぐらいからずっとやってたんですけど、その頃から違うレーベルもやっていて。で、そんな中フォックス(fox capture plan)、orange pekoe、bohemianvoodooっていう3つのグループからリリースに対する相談を受けて、まあ何か今までやってたレーベルで出してもいいかなと思ったんですけど、それなら1個レーベルを作ったらどうかなって思ったのがきっかけです(笑)。

──けっこう軽い感じの…(笑)。

谷口:そうです、めっちゃ軽い感じの(笑)。

──軽い感じとは言え、もともとレーベルをやっていた中で敢えてPlaywrightを作った理由みたいなものってありますか?

谷口:もともとやってたレーベルっていうのが、メインではThink! Recordsって言って今でもあるんですけど、それは復刻モノがメインで、レアグルーヴだったりとか、最近の音楽のCD化したものをレコードで出しましょうとか、そういう焼き直し系のレーベルだったんです。そこでカワイヒデヒロの前にやってたImmigrant's Bossa Bandっていうバンドもリリースはしたんですけど、復刻専門のレーベルから新録の現在進行形のバンドを出してもなんか埋もれちゃうようなところがどうしてもあったので、それだったら一つ屋号を作ったらいいんじゃないかっていうのは思ったことですね。

──フォックスはもともとあったThink! Recordsの存在は知ってましたか?

岸本:Think!は僕はもともと知ってました。Immigrant's Bossa BandとJABBERLOOPが仲良かったんでThink! Recordsの存在は知ってたんですけれども、そういや当時そういう話をしてたのを思い出しました。

──リリースの相談をして、Think! Recordsではなく新しいレーベルから出そうって言われたときはどうでした?

岸本:あ、もうなんか楽しそうだなって思いましたね(笑)。なんなら最初、谷口さんに相談したとき、Think! Recordsのつもりだったので。それこそ新しいムーヴメントを起こせたらと思いましたね。

──フォックスも去年10周年でしたが、立ち上げからほぼ同時期に動いてきた感じですよね。Playwrightを立ち上げたとき、10年続けようっていう考えはありましたか?

谷口:全然ないです(笑)。

──(笑)実際、続いてみてどうですか?

谷口:いやあ、もう10年経ったのかっていうのが一番。早かったなっていうのはありますけど。そうですね、もう、頭の中は「次、11年目どうしようかな?」ってことしか考えてないですね(笑)。

一同:お~!(笑)

カワイ:そうなんだ?(笑)

谷口:続けるか、やめるか、誰かにあげるか、みたいな(笑)。

カワイ:あげるってなに?(笑)

井上:ここまでバンドが増えるとも思ってなかったですもんね、最初。

谷口:みんなも言ってるけど、ここまでバンドが増えると思ってなかったので。それは自分でもびっくりしています(笑)。

──今、レーベルには何バンドいるんですか?

谷口:23、4、5ぐらいか……?

カワイ:そんないるとは思わなかった。1カ月丸々、毎日ライブできそうじゃない?(笑)

谷口:ワンマン23Days(笑)。次にLOFTでやるときそうしようか(笑)。

──あ、ぜひぜひ(笑)。

岸本:でも、イベントを積極的にやってる感じしますね。ブルーノートで僕らがホストバンドで、レーベルの仲間呼んだり。そういうのも含めて年間通して動いてる感じがありますね。

──フォックスも10年続いてみてどうですか?

岸本:早かったっていうのはすごく思いますね。

井上:僕らだって10年やるつもりじゃなかったですもんね(笑)。

岸本:でも時代がちょっと変わった感じはしますね、始めた頃と。いわゆる洗練された感じの音楽が台頭してきたなって、2010年代後半ぐらいから。それは全く予想してなかった感じではありますが、その中をやり続けてきたんだなと思います。

どうせやるなら多くの人の耳に届くようなことをやろう

──そんな時代の中、メンバー変わらず10年やってこれて。

井上:良い感じに肩に力を入れずやってきたのもでかいね。

カワイ:お前こうしろよ! みたいな、そういう強制するようなことがなくて。なんか、ユルいですよね。

岸本:2010年代に突入したぐらいのときにやっぱりマンネリ化してる部分があって。ポストロック系がすごく人気があって。toeとかte’とかLITEとかがすごい中心に盛り上がってたんですけど、追随するバンドがいっぱいいて飽和状態に感じてたんですよ。で、その辺のいいところをミックスしてやると面白いんじゃないかと。初期の曲とかは方向性としてはまさにそういうコンテンポラリージャズ、ポストロックとかでしたね。

井上:あれ、一回リリース前にLOFTでなんか360度みたいなのイベントでやったっすね。

──ありましたね!

カワイ:フロアでやったやつだ。やったね。

──あれはフォックスならではというか。非常に面白い感じでできたので良かったですよ。その後はどんな感じで?

岸本:ちょっと認知され始めたのが「衝動の粒子」っていう最初のミュージックビデオですね。あれから「お、なんかちょっといい感じじゃね?」って話をしたのは覚えてますね。

──バンドの認知度が上がってきた中で、何か思うことってありましたか?

カワイ:う~~~ん、なんだろうね。そんなめちゃめちゃ自覚する感じはないんですけど、たまにテレビとか見てると「フォックスっぽいの作って」っていう発注なのかな? みたいな。代名詞みたいなのになった感じはあるかもしれないなって(笑)。

岸本:一つの音楽ジャンルって言うと大袈裟ですけど、ムーヴメントを起こせたかなっていうのはまさにそうですね。

──フォックスだったり、Playwrightっていうレーベルが若い世代にジャズとかインストを浸透させてくれたと思うんですけど、なんかそういうイメージみたいなものって立ち上げ当初からありましたか?

カワイ:そんななかったよね?(笑)

岸本:でも、確かに既存のジャズリスナーにウケるっていうのも一つなんですけど、大学生以下、学生とか、20代のジャズを全く聴いたことがない人とかにも届くような、それこそポップスしか聴かない人とかでも響くような音楽で、なおかつちゃんとそのバックグラウンドのクラブジャズだったりポストロックだったりの自分たちの得意なことはどんどん取り込んでっていうふうには考えてましたね。どうせやるなら多くの人の耳に届くようなことをやろうっていう雰囲気で、音楽性もそういう感じにして。インストゥルメンタルの、特にピアノ系なんかのバンドは今すごく数が増えたなとは思うんですけれども。目に見える人が増えてきたのかなっていうだけなのかもしれないですけど。それもあまり予想してなかったですね、この10年。

──10年でこのシーンって大きく変わった気がします。フォックスとして、ジャズだったりインストだったりっていうこだわりってやっぱりありますか?

カワイ:最初はこだわってたかな、3人だけのトリオ編成の音色で、みたいなのは。

──たとえば、後からボーカルを入れようとか、そういう考えは全くなかったんですか?

カワイ:将来的にはボーカルを入れたりとかフィーチャリングしたりとかはやろっか、みたいなのを一回ぼんやりと喋ってたぐらいですね。

井上:そうですね、最初は3人でどこまでやれるかみたいな。

カワイ:うん、最初の3、4年はそんな感じだったね。

岸本:そうそうそう、あと電子楽器は使わないみたいなのとか。そこはやっぱり、基本はジャズっていう音楽をベーシックに置いてやっていこうっていうこだわりがあったかもしれないですね。

10年経って“Playwright系”みたいなものが浸透した

──じゃあ、固定としてボーカルを入れようみたいな考えは…。

岸本:なかったですね。ジャズのサウンドでどれだけ面白いことをできるかっていう。まあ、ここ近年になってからはそういうのも取り外してやってますけど。

谷口:僕も全然そういうつもりはなくて。ジャズ業界に風穴開けてやろうみたいなつもりも全くなくて(笑)。初めは好きな音楽を出せりゃそれでいいかなと思ってたので。ただ、なんかそれがひと塊でブランドとかアイコンとかになったらいいなっていう目標はありました。Playwright系って言われたい、みたいな。で、10年経ってみると、なんかそれが一つ浸透したなって実感してるのが嬉しいですかね、結果として。

岸本:東京ジャズとか地方のジャズフェスとかにコンスタントに呼んでいただけるっていうのは非常にありがたいですね、やる意味もすごくあると思うんです。どちらかと言うとバンドシーンの中にこういうスタイルのバンドがいるっていうので突き抜けていきたかったっていうのはあったのですが、ジャズのイベントにも想像以上に声を掛けていただきました。

──僕もタワーレコードで働いていたので、J-POPコーナーとかにフォックスが置いてたりとか、そういうバンドが最近すごい増えたなって感じは思いましたね。10年経ってみていろんなことがあったと思うんですけど、特に印象に残っている時期とか出来事とか時代背景みたいなものはあったりしますか? たとえばこの2年ちょっとコロナっていうものがあって、それに対して思うこととか。

井上:まあなんか、それはそれでできることをやろうっていうので、このコロナ禍でもフルアルバムを3枚出してて。結局、そのほかに映画、ドラマの劇伴の仕事とかもやらせてもらえるようになったんで、結果多分バンド活動の中で一番忙しい時期だったですね、この2年ぐらいが。

カワイ:確かにライブはできなかったけど、ライブ以外の活動はけっこうしっかりできてたかな~って感じですね。

──無観客配信もしてましたよね。

岸本:やりましたね。イベントができなくなったりして、多少は精神的に沈んだんですけど、それどころじゃなかったっていうのが僕たちはあるかな(笑)。10年を振り返るとレーベルの仲間がすごく増えて。なんて言うんですかね、バンド始めたときって僕らは地元が東京じゃなかったりするんでそこまで仲間はいなかったかなと思うんですけど、今、後輩バンド的な人もいっぱい入ってきたり、レーベル外にも一緒に盛り上がれる仲間とかが増えて。それはなんかすごく、一番変わったことかなと思いますね。

──谷口さんはどうですか?

谷口:いろんな出来事があったし、いろんな所に連れてってもらいましたし。日本全国、海外までも。それが一つ楽しかったのと、コロナになってライブができなくなって、やっぱりそれは大きかったですかね。最近、以前から来てくれていた人たちに会うだけでも泣きそうになっちゃって(笑)。

──本当に、ようやくお客さんが徐々に徐々に戻ってきたかなって、ロフトとしてもそうだと思うんですけど。やっとこう、完全とまではいかないですけど、良いところまでは来ているのかなとすごい感じますね。

谷口:そんな中、岸本に憧れて! みたいな人が来たりもして、そういうのを聞くとやってきて良かったって思います(笑)。

──フォックスを目指してやってますみたいなバンドの子たちもすごく多くなっていると思うんですよね。

岸本:嬉しいですね。さっきも少し話しましたが、やっぱりここ数年はキーボーディスト、ピアニストのいるインストゥルメンタルがすごい増えたんですよ。

──20代前半の子とかが多いんですか?

谷口:そうですね、今回のイベントの23日に出るLiquid Stellaとか、24日に出る草田一駿も22歳とかなので。

──じゃあフォックスはもう年長?

岸本:上で言うと島さん(島 裕介)とかいますけどね、WAIWAIの伊沢さんとか。

与えられた環境内でなるべく好きなことをやろう

──レーベルのバンドって谷口さんが見つけてきたりするんですか?

谷口:いや……。

──向こうから?

谷口:はい。ですね。

──それは谷口さんにとってはどうですか? バンドから売り込んでくれるっていうか。

谷口:嬉しいですよ。「Playwrightから出すのが夢なんですよ」って言われたらもうやるしかないですよ(笑)。

──(笑)谷口さんがレーベルを動かしていく上で重要なこととか大事にしていることはありますか?

谷口:私の場合は個人のレーベルではないので、あくまでディスクユニオンという会社の中の制作部でやっているので、そこまで経営目線ではないっていうのが一個特徴ではあるかなって思って。それが良いのか悪いのかはちょっとわかんないですけど。与えられた環境内でなるべく好きなことをやろうって思っているのはいつも考えていること。で、あとは周りが勝手に動いてくれるから(笑)。俺は何もしなくていいやみたいな、そんな感じで自由にやれれば良いなって思います(笑)。

──バンドと関わるときに大事なこととか、自分でこう関わっていこうとか意識するところはありますか?

谷口:あ~、それはこの人たちの前ではあんまり言えないな~。

一同:(笑)

写真:Rui Hashimoto

──逆にバンドからレーベルってどういう存在だと思います?

カワイ:ここでは言えないですかね(笑)。

岸本:けっこういろんな人が業界にいると思うんですけど、レーベルによってはいちいちライブに顔出さない人とかもいたり、マネージャーも兼ねてるみたいな人もいたり。谷口さんは楽屋に来て、なんかいろいろ思い付いたこととかアイディアを出し合ってくれて、その辺はやっぱり仲間感覚ですね。バンドメンバーだけじゃなくて一緒にプロジェクトを動かすチームの一人、なんならちょっと引っ張っていくぐらいの存在感はあるかな。

谷口:なんかこう、「出したいです」って来て「いいよ、やろうぜ」ってなるんですけど、「その代わり俺も遊ばせてもらうぜ」っていうような感じですかね。

──レーベルボスとしてではなくて谷口さんっていう存在ってどういう存在だと思いますか?

谷口:言えないでしょ、そんなの…。改めてそんな話…(笑)。

一同:(笑)

──プライベートで飲みに行ったりするんですか?

カワイ:たまに行きますよ。

谷口:ロクな話はしない(笑)。

岸本:まあいい意味で、アーティストとディレクターだからちょっと線引きしましょうよ、みたいなのはあんまり感じないのが谷口さん。アルバムを出しましょうって言っても、アーティスト主導なのかレーベル主導なのかみたいなのあると思うんですけど、大体一致してるかなっていう。なんとなく、こういう流れじゃない? って一緒に相談してて。そんなに仕事仕事って感じではなく。

──関係としては本当に理想の関係っていう感じは確かにしますね。

谷口:ありがとうございます。

──谷口さんは今のfox capture planを見て何か感じることありますか?

谷口:え……? いや、頑張ってますね。

一同:(笑)

──先ほどPlaywright系みたいなのが浸透したっていうお話がありましたが、フォックスにもちょっと似たようなところもあるんじゃないかなと。

谷口:ああ、そうですね! フォックス系みたいなのが増えたなってのはありますね。いわゆるピアノロックの代名詞になったなっていうのはすごい感じますね。その先駆者であって、で、今また違うことをやってるから、なんかそれはやっぱり常にリーダーなんだなっていうのは僭越ながらしてますけど。後から出す人はどうしても二番煎じみたいに思われちゃってもしょうがない部分があるんですけど、彼らの場合は常に先頭切ってるなあって感じはしますけど。そこは純粋にすごいなって思います。

1回目のトップバッターがフォックス、10周年の締めもフォックス

──Playwright系に、フォックス系、本当に一緒に先頭を切って走ってる感じがします。ちょっと話が変わるんですが、インディーのシーンでフォックスもずっと活動してたと思うんですが、インディー‏‏‏‏/メジャーについて何か思うことってあります?

岸本:最近なんかインディーで人気がありそうなかっこいいバンドがメジャーに行ったりするじゃないですか。メジャーにいなさそうなインディーっぽいバンドが。だからまあ、インディーがまた盛り上がってる時代が来ると面白いですよね。

──それこそこれもよく聞かれると思うんですけど、インディーのこだわりみたいのってあります?

カワイ:う~~~ん。メジャーデビューしたい! っていう目標はなかったので。

井上:だし、今さらやっても…っていうのもあるし。

岸本:まあでも、“自分たちがやりやすいレーベル”っていうのが大事で。

カワイ:10年になるまでの環境はPlaywrightにいたことによってできてるから。結果良かったのかなと。

岸本:メジャーに行ったときのメリット、デメリットっていうのがそこまでわかんないですけど。

谷口:俺はでも、メジャーのレーベルは羨ましいですけどね(笑)。宣伝担当がいて事務所的な機能もあってライブの担当もいて、ラジオとかガンガン宣伝担当がいてくれて羨ましいな~と思ってますけど(笑)。

──じゃあフォックスがもしメジャーに行きたいって言ったとき、谷口さんは引き止めますか?

谷口:全然引き止めないっす。

一同:(笑)

カワイ:早く出てけってことか(笑)。

谷口:それがチャレンジなのか、甘えなのかとか、そういうのはじっくり話し合いますけど。それがチャレンジなのであれば、常に物事はやってみないとわからないので。

岸本:まあでも、あんまりレーベルサイドに主導権は握られたくないってのがあるかもしれないですね。やってみなきゃわかんないこともあるんですけど、とりあえずそういうのは一つの理由ですね。

カワイ:セルフプロデュースを最初していたっていうのもあって、今さら誰かに何か言われるのも……。それがすごい的を射てたりとか、これ良いじゃん! ってなったらいいんですけど、あんまりそれを提案してきてくれる人もいなかったんで。自分らで今の状態でやろっかみたいな感じのまま10年経ったみたいな(笑)。

──フォックスと谷口さんが理想の関係性だからこそっていうのもあったんでしょうね。イベントのことについても聞いていきたいんですけど。今年10周年でLOFTでパーティーを開催していただきありがとうございます。

谷口:あざすっ!

──2020年は3Daysで開催しましたが、覚えていることはありますか?

谷口:3Daysは……楽しかったです(笑)。

──(笑)イベントはけっこう定期的にやっている感じなんですか?

谷口:そうですね、ほぼ毎年開催してますね。それこそ1回目もLOFTだったんで。そのときのトップバッターがフォックスで。これは言いたかったんですけど、1回目が2014年とかだからこれは10年前ではないけど、1回目のときのトップバッターがフォックスで、今回の10周年の締めもフォックスなんで。

──フォックスとPlaywrightの関係性の一つの集大成な感じしますね! じゃあちょっと太字で書いときます(笑)。

岸本:僕らはイベントで初めて会うレーベルの仲間もいて、そういう交流の場みたいになってるのではと思いますね。

カワイ:普段対バンしないだろうからね。

岸本:仲良い者同士集まったりはするんですけれども、そこで初めて会ったりするのはレーベルの中の人間からしてもそういう面白さはありますね。

──会場にLOFTを選んでくれた理由みたいなものってありますか?

谷口:それこそ最初にここでやった理由は望月さん(当時の副店長)かな。望月さんはもともとタワレコで、その頃タワレコのジャズ担当だった方と望月さんが仲が良くて、タワレコとLOFTで何かやらない? みたいな話をしていたところに僕がうまく入っていって、一緒にコラボしようよってところから始まったんですよね。で、LOFTで1回目やったらもう楽しすぎて。ま~スタッフの人たちは協力的だし楽しんでくれるし、俺らがガンガン酒飲んでると嬉しそうに酒出してくれるし(笑)。

──(笑)

谷口:で、俺覚えてるのが1回目やった後に多分バーテンの方が「今日はジャズ系のイベントだったのにスタッフがみんなショットとかガンガン飲んでるし、すげー楽しかった」って呟いたのを見て、ああやって良かったってなってましたね。

全世代が満遍なく出演するのが見どころの一つ

──ありがとうございます。そうですね、LOFTってあんまりジャズとかそういうイメージとかないと思うんです。皆さんから見たLOFTってこういうハコだよなっていうのはありますか?

井上:ライブハウスと言えば、というかLOFTってライブハウスの代名詞的なイメージがあって、昔からの歴史もあって。だからロック系のライブハウスっていうイメージが強いですけど、さっきぐっさん(谷口)が言ったようにスタッフの人たちが何年経っても人が変わっても毎回すごいみたいな(笑)。LOFTでスタッフやってる人たちが卒業していった後に、みんなすごいめちゃくちゃできる、仕事どんどんやってくれる、って聞くから。なんかそういうのも含め大好きな場所ですね、昔から。やりやすくて。

岸本:僕は関西人だったんですけど、新宿LOFTは黒夢のライブ盤で知ったハコで。多分移転する前のほうだったと思うんですけど、それぐらいロックバンド、バンドの世界の登竜門的なイメージはありましたね。でもこうやって僕らみたいなバンドも出演させていただけるっていうのは本当にありがたいですし、ジャズ系だから、インスト系だからロック箱でやらないっていう考え方ももう古いっていうふうにしていきたいっていう。まあ逆も然りですけどね。バンアパ(the band apart)とかがネイキッド、アンプラグドのスタイルでビルボード、ブルーノートでやったりっていうのもそれと一緒で。歪んだギターの音が入ってないけれども、それでもこういう老舗のロックなとこで新しいシーンとかを作っていけたら面白いなと。そういうのはけっこう流れを作ってこれたかなと思います。

──改めてLOFTで開催していただいて本当に嬉しいです。今回のイベントの見どころとかってありますか?

谷口:さっきも言ったようにフォックスもいるし、bohemianvoodooもいるし、1年目から共に活動してきたバンドが両日のトリにいて、20代前半の若手も出演するっていうのが一つの見どころですかね。

──それこそ本当に全世代が出演するというか。

谷口:そうですね。それはね、変わったことであり見どころであると思いますね。

井上:自分も演者としてそれを見るのも楽しみっていう。

谷口:ライブを普通に楽しむのと、あとはみんなもミュージシャンなのでちょっとライバル意識みたいなのもあったりすると思うんで、良い刺激になればいいなとは思ってて。演者はそういうところを意識してもらいたいし、来てもらうお客さんはなんで俺がここでやりたいかっていうのを少しでも理解してもらえるといいなと思ってて。酒を飲みながら肩組んで一緒に歌うとか、俺、クラブが好きなので。クラブでは自分のヒーローが目の前でDJやってるんですけど、終わったら普通にバーで飲んでるんですよ。で、すごく近い距離に憧れのアーティストがいるみたいな、そういう場だったんで。なんかそういうのを作りたいなと思って、LOFTだとそれが可能なので、ここでやりたいなと思ったので。

──嬉しいです。当日、楽しみにしてます! 最後に、フォックスは今後のバンドの展望とか目標とかあったらぜひ。

井上:まさにさっきもミーティングでいろいろ話してたんですけど、いろいろ準備してて、去年10周年で今年はいろいろ仕込みながら来年にかけて楽しみが出てくるのかなと思います。

谷口:俺はね、新メンバーを入れようって言ったんですよ。

カワイ:意味がわからない(笑)。新メンバーがやりづらすぎるでしょ!(笑)

岸本:まあ、今年はメンバーそれぞれの活動だったりがメインになってきますけど、下半期とかはけっこうライブのオファーが従来通り戻ってきたような感じはあるので、ガンガン精力的にライブ活動はやっていって、来年はいろいろリリースを予定していますので、そこに向けてですね。

──フォックスの今後も楽しみにしてます。それでは今日はありがとうございました!

一同:ありがとうございました!

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