GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿は混乱のなかカーガイ・レーシングのフェラーリが大逆転勝利

 ファナテック・GTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWSは7月16日、第2ラウンドの決勝レース1となる第3戦が三重県の鈴鹿サーキットで行われ、ウエットから少しずつ乾いていく難しいコンディションのなか、後半スティントにスリックタイヤを選択したカーガイ・レーシングの木村武史/ケイ・コッツォリーノ組777号車フェラーリ488 GT3が逆転優勝を飾った。

 午前に行われた予選は、ところどころ濡れた路面が残るものの、ほぼ路面が乾く中で行われ、横溝直輝がアタックしたヨギボー・レーシングの27号車フェラーリ488 GT3がポールポジションを獲得していた。

 13時30分からスタートしたレース1/第3戦の決勝では、ポールポジションからスタートしたYogibo Racingのフェラーリ488 GT3の横から、カンタディ・クシリ駆るEBMギガ・レーシングの18号車ポルシェ911 GT3 Rが並びかけていく。1〜2コーナーは横溝がトップを抑えていたものの、2コーナー立ち上がりでポルシェのフロントが横溝のフェラーリにヒット。横溝はスピンを喫し、2コーナーイン側のタイヤバリアにクラッシュしてしまった。

 これでレースはクシリの18号車ポルシェ、2番手には木村武史駆るカーガイ・レーシングのフェラーリ488 GT3、3番手には濱口弘駆るビーマックス・エンジニアリングのランボルギーニ・ウラカンGT3が続く展開に。4番手にはポルシェセンター岡崎の30号車ポルシェを駆る永井宏明と、日本が誇るジェントルマンドライバーたちが続いた。

 レースは5周目にリスタートを迎えるが、激しくクシリのポルシェを攻める走りをみせていた2番手の木村がデグナー進入で濱口と接触があったか、姿勢を乱し後退。濱口のランボルギーニが2番手、混乱のなかで山﨑裕介が駆るコメット・レーシングのホンダNSX GT3が3番手に浮上した。一方、デグナーではセティアワン・サントソがドライブしていたEBMギガ・レーシングの8号車ポルシェがグリーン上にストップ。レースはまたもセーフティカーランとなった。木村はコースに復帰したものの、12番手となった。

 ブロンズドライバーたちが多かった前半スティントはセーフティカーランが多いスティントとなったが、開始から25分が経つとピットウインドウがオープン。各車とも続々とピットインを行い、後半スティントに入っていった。

 少しずつ路面が乾きはじめ、ウエットタイヤを守ろうと濡れた路面で走る車両が多く見られるなか、トップはクリシからタナート・サティエンティラクルに交代したEBMギガ・レーシングの18号車ポルシェ、これに永井から上村優太に交代したポルシェセンター岡崎が続き、そのギャップを縮めていく。3番手には濱口から大蔵峰樹に交代したビーマックス・エンジニアリングのランボルギーニがつけていたがピットに入り、ニック・フォスター駆るトリプルエイトJMRの99号車メルセデスAMG GT3が3番手に浮上した。

 終盤に向け、上村は少しずつトップのサティエンティラクルとのギャップを縮め、残り10分ほどでテール・トゥ・ノーズに迫ると、20周目のデグナーでこれをオーバーテイク。トップに浮上した。さらに、3番手だったトリプルエイトJMRの99号車メルセデスを駆るニック・フォスターもサティエンティラクルをかわしていった。

 これでレースの趨勢は決したかと思われたが、後方から異次元のペースで迫る車両が現れた。木村から交代したカーガイ・レーシングのフェラーリで、ピットでスリックタイヤを履くギャンブルに出ていた。終盤、スリックに熱が入ると、ケイ・コッツォリーノがファステストラップを連発しながら追い上げをみせ、21周目にサティエンティラクルをかわし3番手に浮上。さらに一気にフォスターのメルセデスもオーバーテイクし、クラス違いのようなスピードで上村のポルシェとの差を縮めていった。

 コッツォリーノは残り1分というタイミングで、日立Astemoシケイン立ち上がりから一気に加速すると、上村をオーバーテイク。これでカーガイ・レーシングの木村/コッツォリーノ組777号車フェラーリ488 GT3が大逆転で優勝を飾った。

「木村さんがドライでいけるというジャッジをしてくれたおかげです。信じられませんね」とコッツォリーノ。また「良いペースだったけどぶつけられてしまい、逆転するにはこれしかないと、ケイを信じてスリックに賭けました」と木村も自らの選択が勝利に繋がったことを喜んだ。

 2位は永井/上村組30号車ポルシェセンター岡崎のポルシェ911 GT3 R、3位はH.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/フォスター組メルセデスとなった。GT4は田代淳/谷川達也組チーム・スカラの55号車メルセデスAMG GT4がトップチェッカーを受けている。

GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿 優勝したカーガイ・レーシングのフェラーリ488 GT3
GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿 GT4を制した田代淳/谷川達也組
GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿 GT3オーバーオールの表彰台
GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿を制し、今回からウイナーに授与される特製ヨギボーに座る木村武史とケイ・コッツォリーノ
GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿 GT3 AMクラス表彰台
GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿 GT4オーバーオール表彰台
GTワールドチャレンジ・アジア第3戦鈴鹿 GT4 AMクラス表彰台

ファナテック・GTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイAWS

第2ラウンド鈴鹿/第3戦決勝レース結果

Pos. No Cat. Class. JapanCup Team Car Driver Gap

1 777 GT3 Pro-Am JC カーガイ・レーシング フェラーリ488 GT3 木村武史/ケイ・コッツォリーノ 23Laps

2 30 GT3 Pro-Am JC ポルシェセンター岡崎 ポルシェ911 GT3 R 永井宏明/上村優太 8.075

3 99 GT3 Pro-Am

トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/N.フォスター 12.257

4 18 GT3 Silver

EBMギガ・レーシング ポルシェ911 GT3 R T.サティエンティラクル/K.クシリ 23.909

5 60 GT3 Pro-Am JC LMコルサ フェラーリ488 GT3 中西慧/脇阪薫一 33.239

6 5 GT3 Pro-Am JC プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT3 山口智英/荒聖治 33.785

7 22 GT3 Silver

アウディスポーツ・アジア・チームXワークス アウディR8 LMSエボII M.リー/S.ステュービック 39.942

8 47 GT3 Pro-Am JC Dステーション・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR GT3 星野敏/藤井誠暢 47.283

9 888 GT3 Pro-Am

トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/J.ジャファー 47.633

10 51 GT3 Am

AMACモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R A.マクファーソン/W.ベン・ポーター 01:06.1

11 19 GT3 Am JC B-Maxエンジニアリング ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ 濱口弘/大蔵峰樹 01:06.4

12 16 GT3 Pro-Am JC ABSSAモータースポーツ マクラーレン720S GT3 小泉洋史/澤圭太 01:22.5

13 2 GT3 Am JC チーム・ウエマツ マクラーレン720S GT3 植松忠雄/内田優大 02:07.2

14 7 GT3 Am JC コメット・レーシング ホンダNSX GT3 辻子依旦/山﨑裕介 1Lap

15 8 GT3 Pro-Am

EBMギガ・レーシング ポルシェ911 GT3 R S.サントソ/R.ハーカー 1Lap

16 55 GT4 Silver-Am JC チーム・スカラ メルセデスAMG GT4 田代淳/谷川達也 1Lap

17 14 GT4 Silver-Am

GTOレーシングチーム メルセデスAMG GT4 B.リー/安岡秀徒 1Lap

18 12 GT4 Silver-Am JC 恒志堂レーシング トヨタGRスープラGT4 佐藤元春/平中克幸 1Lap

19 33 GT4 Silver-Am JC チームGMB メルセデスAMG GT4 羽田野宏明/細川慎弥 1Lap

20 71 GT4 Am JC アキランド・レーシング トヨタGRスープラGT4 大山正芳/植田正幸 1Lap

21 3 TC INV Am JC チーム・スタディ BMW M2 CSレーシング 木下隆之/砂子塾長 1Lap

22 17 GT4 Silver-Am JC クレフモータースポーツ マクラーレン570S GT4 YUKO/井上雅貴 1Lap

23 4 GT4 Am JC コメット・レーシング メルセデスAMG GT4 藤井正明/坂井一裕 3Laps

24 27 GT3 Silver

ヨギボー・レーシング フェラーリ488 GT3 横溝直輝/藤波清斗 0

天候:雨 路面:ウエット
ファステストラップ:777 カーガイ・レーシング 2’08.392 21/23

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