◆慶応8―1金沢(7回コールド)
高めの直球を捉えた「完璧」な放物線が右翼芝生席へと伸びていく。強打で神奈川の夏を席巻する慶応の2番打者・横地が、今度は試合を決める3ランだ。
3点リードの六回無死一、二塁。セオリー通りなら送りバントだが、「芯に当てる力は一番ある。絶対に打たせようと思っていた」と森林貴彦監督(49)。桐蔭学園との4回戦で2本塁打を放っていた3年生は、その期待に一振りで応えた。
3ボール1ストライクからの5球目。「ストレートに合わせつつ変化球にも対応していく」と相手3番手の失投を見逃さなかった。
今大会3発の強打に加え、上位打線のつなぎ役としても完璧な役割を果たしている。3回戦の第3打席から凡退は一度もなし。1975年大会の森正敏(東海大相模)らがつくった12打席連続出塁の大会記録に並び、「自分は出塁しないといけない立場。素直にうれしい」と頬を緩める。
次戦は東海大相模との大一番。「ホームランが出ているのはきちんと芯に当たっているということ。それ以上はあまり考えないようにしている」と横地。2大会連続の8強入りへ、次も無心でバットを振り抜く。