長崎県内感染レベル「2-Ⅱ」に引き上げ 大石知事、行動制限呼びかけず 「経済止める状況ない」

東京からオンラインで会見する大石知事(画面右)=県庁

 長崎県内の新型コロナウイルス感染者数や自宅療養者数が過去最多を更新し、医療機関が一般診療を制限するケースも増え始めた。だが21日にあった県の臨時記者会見で、大石賢吾知事は「現段階では経済活動を止める状況にない」との認識を示し、県民に行動制限を呼びかけなかった。
 県によると、陽性者や濃厚接触者となって欠勤する医療従事者が続出し、一般診療を制限するコロナ患者受け入れ医療機関が増加。県は緊急時病床を含め570床を確保しているが、全床を運用することは不可能な状況という。ほかにも、通院外来の対応制限や手術の延期、救急搬送の受け入れ困難などの影響が出ている。
 県内本土の全保健所は事業継続計画(BCP)に基づき通常業務を制限。入院・宿泊療養の調整や電話による健康観察などコロナ業務を優先している。
 会見では、こうした状況でも行動制限を求めない理由について繰り返し質問が出た。大石知事は、医療や福祉などの機能を維持できる範囲で、可能な限り社会経済活動を継続するという従来の方針を強調。その上で「逼迫(ひっぱく)の傾向や制限が生じているところはあり、非常に厳しい状況になってきている。しっかりと注視しながら評価していきたい」とした。
 以前は感染状況レベルを「2-Ⅱ」に引き上げると、県内旅行割引キャンペーンの新規予約を停止していたが、今後は停止しない方針。県のアンケート調査で、旅行者の陽性率が全体を下回ったことから「旅行自体に著しく感染リスクがあるとはいえない」と判断した。ただレベル「3」に引き上げるか「まん延防止等重点措置」が適用された場合はこれまで通り、国の判断に従い事業そのものを停止する。


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