ヴェルスパ大分 常に100%の力を発揮する男・浦島貴大

悲願のJ3昇格に向けてチーム一丸となって勝利を目指すヴェルスパ大分。経験豊富なベテランから実力のある中堅、勢いのある若手と、チームをけん引する選手は多い。2年連続JFLベストイレブンに輝いたDF浦島貴大は、その中でも大きな存在感を発揮する。昨季リーグ最少失点の守備を支えた34歳はチーム最年長だ。

リーグ後半戦に向けて調子を上げていたチームだったが、選手に新型コロナウイルス感染者が出たため2試合が延期となり、活動を自粛した。今節(17節)FCティアモ枚方との試合に向けて全体練習ができたのは、わずか4日。浦島は「コンディションは万全とは言えないが、それを言い訳にはしたくない。試合に出たら責任感を持って全力を尽くす」と、いつもと同じように「100%の力を発揮する」と語った。

身体能力も高く安定感抜群

浦島が大分に加入したのは2020年。センターバックとして球際が強く、攻撃の組み立ての中心となり、セットプレーでは受け手と出し手の両方をこなす器用さもある。加入初年度にリーグ優勝に貢献し、昨年はリーグ最少失点の守備を支えた。チーム最年長34歳のプレーの安定感は、チームを率いる者にとって「彼ほど計算できる選手もいない」ということだ。山橋貴史監督は「戦うメンタル、ボールを動かす技術、守備のポジショニングにボール奪取力など全てのプレーのレベルが高いが、一番は、常に自分のコンディションを100%出せる調整力にある」と絶大な信頼を寄せる。

今節の対戦相手となる枚方との対戦成績は3戦3敗、しかも3試合無得点と相性が悪い。それでも浦島は「ネガティブになる必要はない。自分たちのやることをやるだけ」と平常心を貫く。持てる力の全てを安定的に発揮できる浦島の懸命さは、チームに伝播(でんぱ)し、大きな一体感を生み出す。それこそが浦島の稀有(けう)な才能なのだ。

中心選手としてチームを引っ張る浦島貴大

(柚野真也)

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